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「放射性廃棄物」大深度完全密閉方式・研究報告会に行ってきた! ウエルネス情報  「原発」のお荷物! 「放射性廃棄物地下格納施設」(特許工法)の提案

更新日:8月5日

「放射性廃棄物」大深度完全密閉方式・研究報告会に行ってきた! ウエルネス情報

 「原発」のお荷物! 「放射性廃棄物地下格納施設」(特許工法)の提案


 処理水は「汚染水?」

 地震大国ニッポンでは、毎日のように災害・エネルギー資源・環境問題を巡って、原発問題がニュースになってます。

 2024年7月は、敦賀原発の再稼働問題に関して、活断層の上にあることから「再稼働は困難!」との流れから、廃炉の可能性も指摘されています。

 あるいは、何かと事故や不具合が続く東京電力・柏崎刈羽原発も再稼働を目指す東電の目論見とは異なり、先行き不透明な状況にあります。

 3・11東日本大震災時の福島第一原発の処理水を巡っては、処理水を「汚染水」とする中国に対して、7月26日、ラオスの首都ビエンチャンで上川陽子外相が、中国の王毅外相と会談。改めて、国際原子力機関(IAEA)の国際安全基準に合致しているとの報告結果をもとに、日本産水産物の輸入規制の撤廃を求めています。

 福島原発事故から13年目の2024年3月には、原発処理水の海洋放出に対して「中国が賠償制度要求」との記事(共同通信配信)が、原発問題を抱える福島や新潟等の地方紙の一面トップを飾っていました。中国が処理水による将来の経済的な被害の発生に備えて、日本に損害賠償制度の創設を水面下で要求していることが分かったというものです。

 原発事故が国際政治や経済面での駆け引きの材料となっているのです。

 そうした展開の背景にあるのは、もちろん福島原発事故による放射能で、当時、原子炉の燃料棒がメルトダウンを起こして大変な事態に陥っていたことです。

 特に、3号機は水蒸気爆発によって、放射能が福島周辺に拡散される大事故を起こしています。世界的なニュースになって、アメリカ・フランスその他、原発大国からの支援・協力があったことも、よく知られています。

 日本政府は水蒸気爆発までしか映像を公開していませんが、実際にはその直後に核爆発を引き起こして、上空1キロまで黒煙が立ち上がりました。原爆雲の小型版です。

 その映像は海外では流されていますが、日本では流されません。必要以上の混乱を避けるという意味での情報操作は、常に政府関係者が行う危機管理の一例で、例えばオウム真理教の麻原彰晃教祖が富士山の教団施設で逮捕されたときの映像も、日本では霧がかかって見えないようになっています。

 処理水・海洋排出12のウソ?

 原発は原子力の平和利用という美名の下に推進されてきたエネルギー戦略の一環です。

 当初の「原子力・明るい未来のエネルギー」との標語に象徴される安全神話の崩壊とともに、安上がりとされた経済性も、いまや放射性廃棄物をはじめ、廃炉までを含めると、最終的な処理にかかる経費は、想像を絶する額に上ります。

 課題だらけの原発ですが、当面、問題となっているのが、処理水海洋排水後も福島原発敷地内にあふれる捨て場所のない放射性廃棄物、処理水などへの対応です。

 2023年11月に出版された烏賀陽弘道著の『ALPS水・海洋排水の12のウソ』(三和書籍)の帯には「テレビ・新聞が報道しない真実を伝える!」とあります。12のウソの代表例が「海洋排出しか選択肢がなかった」「タンクの置き場所はもうない」「日本政府の安全基準を満たしているから安全だ」というものです。

 原発事故当初から、黒いフレコンパックがどんどん増え続ける映像を見てきただけに、逆に「置き場所がある」というのは不思議にも思えますが、著者は「現場に行けばするわかるウソ」と書いています。

「汚染水タンクを置く場所がなくなりました。なので、海に捨てさせてください」

 東京電力はそういう言い方をして、政府もその前提で海洋排出を決めたというわけですが「真っ赤なウソ」というのです。

 どうなっているのかと思いますが、著者が「行けばわかる」というのは、原発敷地内にはタンクがあふれているのですが、その周辺に目を転じると、付近は空き地だらけだということです。「そこに置けばいいのではないか」との指摘ですが、できない理由は「あちら(広大な空き地がある中間貯蔵施設)は環境省の管轄ですから」という、見事な縦割り行政の結果だったわけです。

 その流れに輪をかけるのが、空き地ではなく、密集した汚染水タンクの映像ばかりを切り取って流す大手メディアの姿勢というわけです。

 そんな中、なるほどと思う指摘は、例えば「本当は海洋排水以外にも、少なくとも2つの選択肢があった」ということです。処理水の自然蒸発とコンクリート固化が、世界では一般的だということで、説得力があります。

 一方、海洋排水の唯一の利点?は「安い、早い」です。

 ALPS方式採用の背景とは

 いかに東電並びに政府、そしてメディアがいい加減かは、『ALPS水・海洋排水の12のウソ』を読めばわかるとはいえ、始まってしまった海洋排出は、いまさら元には戻れないだけに、排出され続ける放射性廃棄物の処理をどうするかは、喫緊の課題です。

 ALPS水とは、放射性物質が含まれる汚染水を多核種除去設備(ALPS)などにより、国際基準まで浄化処理した水のことです。英語の頭文字をつなげたALPSと言えば先端技術のように見えますが、実際は吸着剤ゼオライトなどを用いた極めて原始的な濾過装置です。

 相手が原子力ですから、本来、吸着剤(ゼオライト)に代わる、より最先端のバイオテクノロジー、量子関連技術、光エネルギー技術などを用いるべきで、事実、いくつもの日本発の注目技術が研究開発されています。

 実際に、政府並びに関連各方面に推奨されて、一部検討された経緯もあったのですが、

その際にネックになったのが、肝心の原発関連学者が最先端技術を正当に理解できなかったこと、つまりは彼らの知識、研究レベルのはるか先を行っていたため、再現性や導入実績、エビデンスは?などと、採用できない理由を探し出すことによって、結局、ゼオライトによる濾過というある意味わかりやすい材料が採用された経緯があります。要するに、利権とある種の談合による決着です。

 結果、今日まで根本的な解決作などないまま、処理できない困った廃棄物が山積することなっているわけです。

 大深度完全密閉方式とは?

 まさに「待ったなし」の放射性廃棄物問題について、7月17日、日比谷図書館地下大ホールで開催されたのが「日本放射性廃棄物処理研究会」(元環境大臣・原田義昭代表)

主催の「放射性廃棄物大深度完全密閉方式(原発高レベル放射性廃棄物地下格納施設)」の提案に関する研究報告会です。

 2023年11月の「国際環境会議」COP28では、2050年の原発規模を2020年の3倍にする決議がなされました。原発について、廃止か推進かの議論はさておき、いずれの場合でも問題となるのが、先の見えない放射性廃棄物の処理問題です。

 今回の研究報告は、通産省勤務の20年間、その後の議員生活の多くをエネルギー問題に費やしてきた原田義昭代表が、日本放射性廃棄物処理研究会を立ち上げ、放射性廃棄物の最終処分問題に関する解決策として「放射性廃棄物地下格納施設(特許工法)」を紹介したものです。

「放射性廃棄物地下格納施設」の発表を行った「大塚技術事務所」の大塚孝義代表は、自己紹介に関して、自らを「トンネル馬鹿と言われて40年」と、そのトンネル技術一筋の開発人生を語っています。まさに縁の下の力持ちといった仕事ですが、建設業界では「シールドトンネルの第一人者」として知られています。

 シールドトンネルとはシールド(筒)を用いた工法で、掘削と同時にセグメント(コンクリート製の壁面ブロック)を組み立て、安定したトンネルを構築する工法です。今日では高度に機械化されたシールドマシン(掘削機)を使った地下工事、河川、海底などのトンネル工事では、シールドトンネル工法が主流になっています。

 大塚代表が日本のシールドトンネルの第一人者と呼ばれるのは、1997年12月に開通した東京湾アクアラインでの実績があるためです。

 パーキングエリア「海ほたる」でも知られる東京湾アクアラインは、外径約14メートルという世界最大級のシールドマシンで掘削した世界最長の海底道路トンネルです。地震にも強く、火災など災害時にも逃げるスペースが確保されているなど、国内外でも多くの実績を積んでいます。

 放射性廃棄物の地産地消を

 今回、大塚代表の提案する「地下格納施設」は、現在の原発用地の地下空間を利用し、地下深部に放射性廃棄物を完全密閉して保管するものです。

 その着眼点として、1.安全な施設である(耐震性、水密性、耐久性)。2.現状の技術で建設できる。3.放射性廃棄物をリアルタイムでモニタリングできる。4.施設建設後の管理運営は完全自動化できる。5.地域住民から支持されやすいといった点です。

 シールドトンネル工法は、他の工法と比較して初期コストが高いとされていますが、長期的な視点と既存の原発用地を活用するなど、利点は多くあります。

 立地交付金を利用できることの他、放射性廃棄物の処理自体が、いわゆる「地産地消」方式で地域で発生したゴミは地域で処理・解消することに意味があるというわけです。

 そしてまた、この技術は日本だけではなく、海外へも展開できるため、まずは実証実験が急がれるということのようです。

 研究報告会は質疑応答、原田代表による総評を経て、最後にアイコンテクノ株式会社の金子和夫会長が「宣言文」を代読、多数の賛同を得て採択されて、お開きとなりました。

 様々な思惑、背景があっての原発だけに、まだまだクリアーしなければならない課題は少なくないような印象です。

 東電並びに大手ゼネコン等、福島原発の廃棄物処理事業に関わってきた既存の取り組みなどがある中、それら事業との整合性なども、どう折り合いをつけるべきか。前途多難な印象もあるとはいえ、福島原発に限らず、海外へも展開できるビジネスモデルだけに、オールジャパンとして積極的に推進できることが期待されるところです。


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