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「絶対得するビーガン&ベジタリアン」6   ベジタリアンの訳語と草食系男子、肉食系女子のウソ・ホント!?

「絶対得するビーガン&ベジタリアン」6

  ベジタリアンの訳語と草食系男子、肉食系女子のウソ・ホント!?





 ベジタリアンの直訳「植物人間」?

──ベジタリアンの定義は、肉・魚・卵・乳製品など、動物性食品をすべて採らない厳格な菜食主義「ビーガン」から、魚は食べるペスコベジタリアン、卵は食べるオボベジタリアン、乳製品は食べるラクトベジタリアンなど、いろいろあります。アメリカでは肉を食べなければ「ベジタリアン」になるようで、案外いい加減ですね。

 まあ、自称ベジタリアンはかなり多いです。いい加減と言えば、ベジタリアンは日本語では「菜食主義者」と訳されますけど、実際のベジタリアンの実感とはかなりかけ離れてますよ。

──というと?

 長年というか、ベジタリアンになって、改めて感じたことは「主義ではないな」ということで、よく冗談交じりに「植物人間です」と言ってました。残念ながら、すでに寝たきり状態を表す医学用語になってますが、植物人間というのは、病人にも植物にも失礼な呼称ですよ。

──アハハ。いまさら植物人間とは言えませんね。

 ですから、余計残念なわけですけど、菜食主義という訳語に対する違和感は、エッセイスト鶴田静氏が『ベジタリアンの文化誌』(中公文庫)の中でも記しています。

 同書は彼女がベジタリアンになるきっかけとなったイギリスでの体験から、いわば肉食社会にあって肉食をやめ、ひたむきに非肉食を実践した西欧の人びとを中心に、その思想と行動を追ったものです。

 本の狙いについて、彼女は彼らの非肉食の生き方が「地域と社会をより健康に保ち、私たちがより平和に生きるための、穏やかな変革へのヒントであることがわかります」と書いています。

──平和に生きるための、穏やかな変革ですか?

 彼女自身、欧米のベジタリアンには、菜食主義という日本語にはおさまり切らない、しなやかさと暖かさ、明るさと大きさを感じるようになったと明かしています。

──確かに、殺生を禁ずる仏教上の教えからくる菜食主義のイメージを超えてますね。





 ベジタリアンの語源とマクロビオティック

 その点はベジタリアンという英語の本当の意味を知れば、納得できるはずです。

 ベジタリアン(Vegetarian)という言葉は、1842年、イギリスで生まれています。ラテン語のUesere(・・に生命を与える・活気づける)を語源とし、それがVegetus(活発な・力強い)になり、Vgetalis→Vegetal(成長する)と変化して、Vegetarianになったということです。

 ちなみに、1847年にイギリスに設立されたベジタリアン協会が使いはじめてから、一般化したわけです。

 そこから「ラテン語の語源からすれば『健康で生き生きとして力強い人』という意味だが、そのために肉や魚などの動物性食品を極力食べないようにしている人たちのことをベジタリアンと称する」と、鶴田氏は定義しています。

 しかも、その健康は人間の肉体のみならず、心や精神の健康であり、動植物の健康であり、また社会と地球の健康と考え、そのための食生活に肉類を含めない人たちのことである、と考えられると記しています。

──マクロビオティック(玄米菜食)に近いイメージでしょうか?

 確かに、マクロビオティックも語源的には「大きい・巨大な」を意味するMacroと「生命・生活」を意味するBiosからできているように、単なる食養法ではなく「食は人を良くする」と書くように、健康な生き方がテーマになっています。



 草食系男子と肉食系女子

──ひところ「草食系男子」という言葉が話題になってましたが、「草食系」がビーガン&ベジタリアンの典型的なイメージと重なっています。

 2008年に森岡正博・大阪府立大学教授が『草食系の恋愛学』という本を出してベストセラーになっていますし、2009年には流行語大賞のトップテン入りを果たしています。

──すっかり市民権を得たわけですね。

 その定義は「恋愛に積極的ではない」という肉食とは真逆のイメージから来ています。スマップの草なぎ剛がドラマのイメージから「草食系」と言われてました。

 もっとも、その彼は「焼き肉好き」を公言していたぐらいで、あくまでイメージの問題です。

──草食系女子という言葉も登場してましたけど、どちらかというと、男子に使用されるのに対して、女子の場合は、いまどきの男子より何事にも積極的なため「肉食系女子」と言われていますね。

 まあ、いずれもイメージなので、深い意味はないでしょうね。




 草食系ではないマクロビオティック指導者

──今日のマクロビオティックの創始者・桜沢如一氏や後継者の一人・久司道夫氏など、いつも女性たちに囲まれていて、パワフルな印象があります。

 まあ「女癖が悪い」というのは、昔からマクロビオティックの拠点である東京の日本CI協会、大阪の正食協会関係者から聞かされていました。といっても、苦笑まじりに「しょうがないな」と、微笑ましく見ていた程度のことですが。

 マクロビオティックやベジタリアンの世界は、命と環境に関わることもあり、伝統的に女性が多いため、その指導者は一種アイドル化して、リーダーの追っかけができてくる特殊な世界です。

 桜沢氏のパートナーのリマ夫人は、美人で有名でしたが、もともと医師と結婚していた彼女を、桜沢氏が猛アタックして、ついに夫婦になったものです。「週刊文春」風に言えば、不倫、略奪結婚ということになります。

──なるほど、いわゆる草食系でないということですね。昔は妾(愛人)を持つことは男の甲斐性と言われていましたしね。

 久司道夫氏の場合は、リマ夫人の直弟子でマクロビオティックによる子育て体験を本にした知人が「強姦魔」と言ってました。

──エーッ、本当ですか?

 さすがに「強姦魔はヒドイ」と思いましたが、まんざら嘘でもないわけです。

 日本によく指導に来ていた1990年代、新宿ワシントンホテル別館を定宿にしていたころのことです。

 部屋の奥で女性スタッフが彼の手伝いをしていたのですが、あるとき「キャーッ!」と言って、女性スタッフが泣きながら飛び出してきたのです。そうしたことが何度かあって最終的にはスタッフを派遣していた事務所が女性スタッフの派遣を断ったといういきさつがあります。

 いまは時効でしょうけど、当時の政財界並びにメディア界のフィクサーの一人・藤田実氏が、久司さんの日本での活動をサポートしていて、大平正芳首相や山一証券社長などを紹介して、倒産前の山一証券ではマクロビオティックがだいぶ浸透していました。

 その彼が「困った」とボヤいていたのが、久司さんが女性スタッフに夜のお相手を求めて、無理やり襲うということだったのです。

──しかし、そこまでやりますか。一体、いくつです?

 70代です。




 夜のお相手を求められた女子大生

 個人的な体験では、万座温泉で1週間ほどのマクロビオティック・セミナーに参加したことがありました。

 そのセミナーで親しくなった女子大生と、たまに久司さんの講演会に出かけたりしていました。

 どんな流れからか、久司さんが「強姦魔」と噂されているという話になったところ、彼女が「私も聞いたことがある」と言って、セミナーでの体験を語っています。

 セミナーの最終日に行われたパーティで、彼女を気に入ったらしい久司さんが、直々に「東京に帰ったら、一度、夜のお相手のため、ホテルを訪ねてくるように」と言われたというのです。

 そのとき、しっかり者の彼女は、当時71歳の久司さんの男性機能について、現役かどうか確認したということです。「現役だ」との返事が返ってきたそうです。

──アハハ。そうですか。

 有名なマクロビオティック指導者から夜のお相手を求められて、どうしたものかと悩んだ彼女は、セミナーの女性スタッフに相談。「そのままにしておいて大丈夫よ。久司先生は、いろんな人に声をかけているから、そのうち忘れると思う」と言われて、納得したという話です。

 もちろん自らの優位な立場を利用して関係を強要することは問題ですが、久司さんの名誉(?)のために述べるならば、マクロビオティックの思想は、いわば「人類みな兄弟」というのが、基本的な認識です。退廃的な快楽の追求はともかく、健康的な男女の交遊には鷹揚な面があります。久司さんも、晩年はさておき、それだけ健康だったということです。

「英雄、色を好む」とことわざにありますけど、世の中のリーダー層は、それだけパワフルだったということで、ベジタリアンに限りません。ただ、マクロビオティックがそれを可能にしていたことも確かです。

──なるほど草食系もいろいろですね。その点、肉食系女子はわかりやすい?




 元祖肉食系女子が始めた雑誌「青鞜」

 肉食系女子の元祖は、誰なのか考えたことがありますか?

──ないですけど。

 そうですよね。特に、思い当たる人物はいないようですね。

──要するに、焼き肉大好き女子か、恋愛にオープンで男性関係がハデな女性でしょ?

 個人的には、元祖肉食系女子は「原始、女性は太陽であった」との創刊の辞で知られる雑誌「青鞜」の平塚らいてうを中心とした、明治末から大正時代に社会改革意識に目覚めた女性たちだというのが、一応の結論です。

──なるほど。しかし、彼女たちが肉食系というのは、ちょっと意外です?

 当時、20歳の伊藤野枝が「青鞜」の2代目編集長になったのも、らいてうが若い燕と言われた画家・奥村博史との恋愛に夢中になって、編集どころではなかったためです。

 野枝自身、福岡で仮祝言を上げた婚家を出奔。当時、東京の高等女学校教師だったダダイスト辻潤と結婚。後に、アナキストとして知られる大杉栄と出会い、夫と子どもを捨てて、離婚。大杉との間に5人の子を生んでいます。

──「青鞜」にはお固い左翼的なイメージがありましたけど。

 事実、左翼的ではありますよ。大杉は妻帯者でありながら、野枝と同棲を始めると、愛人の一人・朝日新聞記者の神近市子(後の社会党議員)が、いわば痴情のもつれから大杉を刺す日陰茶屋事件を起こすなど、激動の時代に社会改革、女性解放の最前線で運動を展開するオピニオンリーダーたちの集まりです。

──本当ですか。すごすぎる!

 その彼女らが繰り広げた複雑な恋愛事情、男女関係は実に興味深いものがあります。

 最終的には、野枝は1923年の関東大震災後、大杉とともに憲兵隊に拘引され、いわば見せしめのために虐殺され、わずか28歳で、波瀾の生涯を閉じました。




 不倫が純愛になる『奇跡』?

──作家・林真理子が「歌舞伎役者の妻と世界で活躍する写真家の秘められた恋」をテーマに、要は不倫を実名で描いて純愛物語にした『奇跡』(講談社)が、発売1週間で10万部を超えるベストセラーになっていると話題になっています。

 確かに、内外の名作と言われる作品、例えばスタンダールの『赤と黒』にしろ、川端康成の『雪国』にしろ、結局は不倫小説です。

──大体、不倫や略奪愛など、男女間のトラブルを無視して、小説もドラマもあり得ないですよね。

 ところが、現実には「週刊文春」とか「フライデー」が芸人の不倫まで問題にして、最近はスクープされてタレント生命を失うケースも多くなっています。

──林真理子としても、そうした近年の不倫を叩く世相に違和感があるみたいですね。

 自分ができないことに対する羨望とか、その裏返しの嫉妬など、昔のおおらかさが失われた異常な監視社会に生きる息苦しささえ感じます。

 伊藤野枝は多くのいま読んでも通用する問題提起を行っていますが、その基本的なスタンスは、多くの知識人とは異なり、よく社会の底辺に生きる女性たちの境遇を知り、実際に彼女たちの話を聞いた上で、労働問題も売春も論じていることです。

 愛と理想に生きた伊藤野枝ですが、世の中の本質、人間の性(さが)を直視していたという意味ではリアリストです。

 彼女はシャルル・ルトウルノオの『男女関係』から、売淫のくだりを見つけて「原始社会では、売淫は一般に行われ、かつ少しも恥辱ではありませんでした」と書いています。多くの婦人団体、進歩的な女性リーダーが、売春禁止に動く中、そうした活動を現実を知らない文化人の考えることだと指摘しています。

 事実、最近でも映画界での「性加害」が問題になっていますが、教育界はおろか、バチカンなど宗教界でもセックス・スキャンダルは日常風景です。

 そこからわかることは、いくら性道徳を説いて、性風俗産業を目の敵にしても、厳しくすればするほど地下に潜るだけで、不倫をバッシングしたところで、なくなるとは思えないということです。

 もっと現実的な対応策があってもいいのではないかと、野枝の主張などを読んでいると思いますけど。

──確かに、不倫をバッシングする風潮には、いささかウンザリします。



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