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企業価値協会フォーラム 「社会価値経営」のすすめ 女性経営者の時代を切り拓く「石坂産業」「能作」に注目する!

更新日:2023年12月6日


 企業価値協会フォーラム 「社会価値経営」のすすめ
 女性経営者の時代を切り拓く「石坂産業」「能作」に注目する!



 小学生の孫に聞かせたい!

 一般社団法人「企業価値協会」理事の山見博康氏(山見インテグレーター社長)は、神

戸製鋼所出身の企業広報・危機管理の専門家である。

 仕事柄、顔が広く、マスコミ・ジャーナリストとのつきあいが多い。「ウエルネス@タ

イムス」記者も、共通の知人も多く何回目かの企業価値協会のイベントに誘われて、出か

けていくようになった。毎回、注目企業が登場してきて、発見が多いためである。

 コロナ下、中断していたイベントは、今回は「中小企業のための『企業価値経営』フォ

ーラム」として、2023年10月26日、日本外国特派員協会で開催された。

 始めに結論めいたことをいうと、第一部の最後、来賓あいさつで、企業価値協会のきっ

かけとなった一人、同協会顧問である望月晴文氏(元経済産業事務次官)が「2012年

に設立、コロナで中断後、再開した今回のフォーラムは、いままで一番面白かった」と、

正直なコメントを残している。

 それは当日の主役である2人の女性社長「石坂産業」2代目社長の石坂典子社長と「能

作」の5代目・能作千春社長の話が、面白かったためだ。地域・環境・教育・海外・女性

活用など、今日の企業課題を先取りして、成功してきた。

 しかも、2人とも父親の跡を継いで、大きく飛躍させている。聞いていて、ワクワクす

るようで、みんな引き込まれて聞いていた印象がある。望月氏が何度も「小学生の孫に聞

かせたかった」と言っていたのも、そのためである。

 来賓の一人、障害者・福祉施設の菓子販売をサポートする「スイートハート・プロジェ

クト」実行委員会の東光篤子委員長を含めて、まさに女性が輝く時代である。

 それは、いままでの男性優位の世界、企業社会がお金(物質)優先、弱肉強食、効率第

一の結果、争いの絶えない持続可能性が問われる地球環境をもたらしてきた、いまさらな

がらの価値の転換である。



 遅ればせながら「社会価値経営」に

 同フォーラム第一部の最初に、企業価値協会の武井則夫代表理事が「方針発表」に関し

て、「金々々資本主義から社会価値経営に」と語っていた。それが企業価値協会の企業社

会に対するメッセージである。

「先が見えない不安」とともに、経済社会の在り方に違和感を覚える時代に、企業はどう

あるべきか。そこから引き出されたのが「社会価値経営」である。一言でいえば「社会に

役立つ会社」である。

 それは持続可能性が問われる今日、SDGsが問題になる中で、様々な社会課題に取り

組むことをテーマにした企業である。

 社会課題の解決をビジネスにするとき、そこに儲けがあるのかと考えたとき、ニーズは

ある。誰かがやらなければならないからこそチャレンジすべきであり、儲けはその結果も

たらされるというわけだが、それが普通にできる時代環境になっている。

 一昔前は、ニーズはあっても、それをビジネス(儲け)につなげるのが難しかった。だ

が、いまやニーズはあり余るほどある。そして、社会課題の解決をビジネスにすることに

よって、やがて社会から応援される会社になる。

 企業価値協会は、そのためのサポート、ノウハウの提供をすることを通じて、企業・消

費者のみならず環境にも経済社会にもいいビジネス社会を実現するのが使命というわけで

ある。

 企業価値協会の基本理念である「社会価値経営宣言」には、「企業価値協会は中小企業

ならではの特徴的価値を活かした社会価値経営を推進します」、「私たちを取り巻く経営

環境が日々大きく動いています。経営者として先が読みにくい。我が社はどこに向かえば

いいのか、何を追い求めれば良いのか。経営者の心の声が聞こえてきます」と書かれてい

る。

 以下、その答えともいうべき「社会価値経営」の概要が記されている。

・他社とは異なる独自の価値を明文化する。

・特徴的価値の中から、社会価値経営の土壌づくりを進める。

・特徴的価値を活かし、本業の中身を進化させるブランドづくり。

・外部の知見・リソース(NPO、他企業、団体、大学等)を活用する。

・社会課題への取り組みを中心軸として応援される会社へ。

 同協会のメッセージ「社会価値企業宣言」は、以前はどこかきれいごとにしか聞こえな

かったように思うが、コロナ後のいま、世界が大きく変わる中、きれいごとのようでいて

地に足がついた活動として、素直に受け入れることができる時代だと、このフォーラムの

場に集まった企業と支援者には、よくわかる話である。



 ゴミをゴミにしない再資源化率98%

 パネルディスカッション「事業を進化させる社会課題に取り組む経営」の1社「石坂産

業株式会社」は、埼玉県入間郡三芳町にある。「ださいたま」が話題になる埼玉で、三芳

町は周辺とは異なるきれいな一帯という印象がある。

 そんな地域での産業廃棄物業の苦労は想像に難くないと同時に、今日の石坂産業が、三

芳町の環境づくりに一役買っている。

 産廃と言えば、不法投棄が社会問題とされてきた業界である。しかも、建設・運送業な

どと同様の男性の仕事というイメージがある。そんな中での2代目社長が女性の石坂典子

社長である。

 高校卒業後、米バークレー大学に短期留学し、帰国後、ネイルサロンを開業するため、

アルバイトをしていたところ「どうせなら会社の仕事を手伝って」と言われて、1992

年に入ったのが、父親が1967年創業した「石坂産業株式会社」である。

 10年間、事務員として働いて、いよいよネイルサロンをやるために退職しようという

とき、1999年にダイオキシン問題が勃発した。石坂産業にも疑いの目が向けられ、バ

ッシングを受けるようになり「石坂産業は出ていけ!」との反対運動が起きて、公害調停

や裁判問題にまで発展していった。

 そんな中、辞めるタイミングを逃し、また父親が創業当時、東京オリンピック施設の解

体に携わったとき、大量に出る廃棄物の山を見て「将来は資源を再生できるリサイクル事

業に取り組みたい」と考えていたという話を聞いて、自分がその思いを継ぐしかないと、

自ら2代目社長になる決意をした。

 マイナスからのスタートのため、どうやってそれをプラスにしていくか。そこで、社員

が「やりがいや幸せを感じているか」との思いから、地域をはじめ周囲の人たちに「自慢

ができる会社をつくろう」と“脱産廃宣言”をした。

 その一つとして、最初に工場を全天候型にしたわけである。

 その後も、周囲の反対運動が続く中で、地道な改革、活動を続けて、いまや地域の宝に

なっている。そんな象徴的な存在が、ゴミを捨てようにも捨てられないキレイな森と里山

づくりであろう。

 東京ドーム4個分の森の一部に「自然と美しく生きる。つぎの暮らしへ」をテーマにし

た「三富今昔村」をつくって、地域に開放している。石坂産業が自然との共生を目指して

つくり上げた「五感で学ぶサスティナブル・フィールド」であり、生物や植物と触れ合え

る「くぬぎの森」、地域の衣食住を紹介する「三富今昔語りべ館」、「しあわせ神社」、

「オーガニックファーム」の他、カフェやパン工房など盛り沢山なテーマパークである。

 石坂産業の取り組みの全貌は、これまで「2代目女性社長の号泣戦記」のサブタイトル

のある『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!』(ダイヤモンド社)、『どんなマ

イナスもプラスにできる』(PHP)、『産廃会社の娘、逆転を語る』(日経BP社)と

いった書籍になっている。

 工場見学を積極的に受け入れている会社なので、実際に自分の目で見れば「目から鱗」

の産廃業界の最先端がわかるはずである。




 世界初の錫100%製品を開発!

 高岡大仏のある富山県高山市は、高岡銅器の製造で知られる伝統産業の盛んな職人の町

である。地域には大小多くの工房が軒を連ねてきた。

 そんな伝統工芸の町も、職人の高齢化、技術のアジア・中国移転で、厳しい環境に置か

れてきた。

 その高岡で、能作は1916年(大正5年)に創業。仏具や茶道具、花器などの鋳物を

製造してきた。

 2023年3月、伝統ある会社「株式会社能作」で、先代の父親の後を継いで、5代目

に就任したのが能作千春社長である。

 同社は父である4代目が、仏具や茶道具、花器などの生地を納める下請けから、デザイ

ン力のある製品づくりを始めて、2001年に自社ブランド「能作」の製造・販売をスタ

ートさせた。

 2003年には世界初という「錫100%」のテーブルウエアの製造を開始した。なぜ

世界初なのかは、柔らかい素材のため、誰もそれを使って製品をつくろうとは思わなかっ

たためだとか。

 抗菌性があり、錫の器で日本酒を飲むと、まろやかになる。赤ワインがおすすめと、能

作社長は語っていた。

 能作千春社長は、もともとアパレル関連で通販誌の編集に携わっており、12年前に能

作に入社した。

 同社の製品はデザイン性に優れている他、錫の器は自由自在に形を変えられるなど、楽

しさと意外性に富んでいる。

 もともと、企画することが好きだったという能作社長は、結婚記念の10年目は「錫婚

式」であることから、錫婚式のイベントをはじめ、様々な企画に取り組んでいる。

 いまだ子育て中だというが、女性が働きやすい環境のためか、いまは社員の75%が女

性で、平均年齢が32歳という。まさに女性、若者が活躍できる職場環境をつくりあげて

いる。

「能作」については、著書『つなぐ 100年企業5代目社長の葛藤と挑戦』(幻冬舎)

に詳しい。また、積極的に工場見学会を催しているため、実際に見てくれば、参考になる

ヒントをいろいろ得られるはずである。

 先の石坂産業も能作も、ともにオーナー企業ではあっても、創業者ではなく、2代目、

5代目の、共に女性経営者であることによって、いまの日本の企業風土の中、企業価値協

会が掲げる典型的な「社会価値経営」が行われているということだ。

 両社に共通する点は、他にも会社見学を積極的にしていること。環境その他は当然、社

員と同時に地域との連携などを大切にしていることなど、ブレずにやっている。ある種、

女性の力のようでもある。

「ただものではない」という2人の女性社長の活躍は、日本も捨てたものではないと、明

るい気持ちになる。





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