日本とモンゴルの架け橋となる文化交流に登場した歌姫「明蘭」
「モンゴルの父」と言われた長谷部平吉「長谷部グループ」会長
ブラジルとモンゴルとの縁
2024年7月15日の海の日、東京・赤坂インターシティで「日本とモンゴルの架け橋となる文化交流」イベントが開催されました。
「水と空気のパートナー」がキャッチフレーズの「ダイゴ」(株式会社「大五商会」)の高橋大吾代表から「爆誕~BAKUTAN~明蘭ビッグマム伝説の幕開け~」と称するイベントへの案内が届いていたため、出かけてみました。
モンゴルに関しては、東京・広尾に本社がある長谷部建設グループの長谷部平吉会長を通じて、よく話を聞いていたこともあります。
今回のイベントは、世界平和活動家&シャーマンであり、モンゴルの歌姫・オペラ歌手「明蘭」のコンサートとその爆誕物語をゲストとの対話形式で行う「共振共鳴の会」との触れ込みです。
大五商会からの案内には、以下のように書かれていました。
「大自然の高原から雑草も生えないような東京砂漠に来て16年間の年月が経ちました。
言語・習慣の異なる日本で人生を築き、歌を通してモンゴルと日本との文化交流活動に取り組む情熱と行動に感銘を受けました!
今回のコンサートが益々の飛躍につながることを願っています」
もっとも、案内をもらって「世界平和」はさておき「なぜ、高橋代表がモンゴルなのか?」というのが、率直な感想でした。
見れば、発起人代表・実行委員も楠野裕司氏(写真家・アートプロデューサー・日本ブラジル文化交流協会理事)になっています。ブラジル関係で出会った彼もまたなぜ、モンゴルなのかとの疑問を持ちつつ、当日、会場に駆けつけました。
会場受付に行くと、昔とさほど変わらない面影の楠野裕司氏がいて、再会の握手をしました。高橋代表と会ったのも2012年、歌手の加藤登紀子や寺山修司関係のJAシーザー(劇団「万有引力」主宰)らが参加していたブラジル関係のイベント以来です。
楠野氏同様、ブラジルとの関係が深かった高橋代表ですが、そのイベントの後、明蘭と出会って、世界平和への思いを共有するようになり実現したのが、今回の「日本とモンゴル」の文化交流イベントになったようです。
日本での「天職」との出会い
モンゴルの歌姫「明蘭」は1985年に内モンゴルに生まれました。イベントタイトルに「爆誕」とあるのは生誕時、雷が鳴って生まれてきたエピソードからですが、歌声で人を幸せにする能力があると言われて、飛び級で国立音楽大学に入学。しかし、上には上がいると知って、自分なりの道をたどり始めます。
日本の植林ボランティアとの出会い、父親の死を経て、24歳で来日。仕事先でのいじめ体験、結婚そして離婚を経て、2010年に人生のターニングポイントを迎えました。
「天職との出会い」という言葉を使って、彼女は生命保険の営業を始め、5億円の売上げを12年間続けたのです。
その事業の成功と人の縁とがあって、今回のイベントにつながっています。
広い会場でのイベントは、マイクからの声が半分、何を言っているのかわからなくなるところもありましたが、大事なことは世界平和という同じ思い、愛の気持ちを持てば、後は彼女の歌に共振共鳴することで、共感から次なる行動へとつながっていく一つのチャンスになるということです。
若い事業家・村主悠真氏(世界平和活動家・日本寄付財団代表理事)、霊能者。そして実質的な主催者である大五商会の高橋代表などが、次々と対話の相手を務めて、イベントが盛り上がっていきます。
その高橋代表との出会いは、2012年、飛び込みの営業だったということです。
明蘭の明るいエネルギーは、まさにモンゴルの大草原から心の砂漠が広がる日本、日本から、世界を舞台にした展開となっています。
具体的な平和の取り組みとしては、ルワンダ支援校訪問、ブータン支援校訪問、教育支援活動(インド・バンガロールスラム街)、インド・チベット地区訪問による古代経典保護活動など、すでに実績を上げています。
モンゴルなどへのゴルフツアーなどもあります。
彼女に協力する若い事業家も、愛と世界平和を声高に語っていて、しかもビジネスにもしているようで、戦争の耐えない時代に、世界の国々のリーダー層のお粗末を補う役割を演じています。
日本の「モンゴルの父」長谷部平吉会長
筆者とモンゴルとの関係では、20年以上前になりますが、2002年に中堅ゼネコンとしてユニークな経営をしていた長谷部建設グループの長谷部平吉会長をレポートしたことがありました。
すでに、事業経営は子息の長谷部亮平社長に任せて、会長はアジアの大学生に育英資金を提供。モンゴルでのホテル経営、ベトナムとの合弁事業など、日本にいる“モンゴルの父”などと言われていました。
取材した当時は、長野県高遠で「モンゴル公園」付き農園別荘づくり(高遠・長谷部アジア公園)に力を入れていたものです。
高橋代表に「長谷部グループを知っていますか」と聞いたところ、知らないということでした。ちょっと意外でしたが、すでに次世代による新しい日本とモンゴルの時代に移行しているということでしょうか。確かに、今回のイベントに長谷部グループの関わりはまるで感じられませんでした。
その理由を探るべく、後日、長谷部建設グループに連絡。総務の内山英治氏に確認したところ同社のモンゴル事業は17~18年前にすべて撤退したということでした。2006年~2007年です。しばらく、モンゴルの岩塩だけ輸入していたそうですが、それも終了。いまは本業の建設に専念しているということです。
平吉会長も8年前(2016年)に亡くなっていました。
長谷部アジア公園も、解体。土地を地主に返して、いまはメガソーラー発電の基地になっているそうです。
バブル崩壊後、失われた20年が続く中で、さすがに手を広げすぎたということでしょうか。モンゴルのフラワーホテルの他、ベトナム等も売却。ちょっと残念な時代の変遷です。
YouTubeに登場したシャーマン
そんなモンゴルに関して、新潟大学教授時代からの友人であり、その後、九州大学に転じた松原幸夫・元九州大学教授から「興味深いYouTube映像がある」とのメールがありました。
「もうすぐ世界が大きく変わる!? モンゴルのシャーマンが明かす“夜明けの時代”と日本人に与えられた役割とは!?」のタイトルでTORAND VLOGが提供するYouTube映像です。
シャーマンとは天から降りてきた霊示を伝える者のことです。
現代の日本でシャーマンが話題になるのも、時代が彼らを必要としているからであり、彼らもその使命を全うしたいと考えてのことのようです。
YouTube映像には、シャーマンのオディ氏による、興味深い降霊儀式のシーンが流れます。オディ氏が日本人YouTuberの番組に登場したのは、この10月に著書『チャンドマン交流』の日本語版が出版されるタイミングだからのようです。
タイトルのチャンドマンとは「守るべきもの」を意味するとのことで、言葉や行動だけではなく、氣(エネルギー)を宿し、波動を通じて自然や時間・動物・魂・意識などと交流するために自分の体、心そしてマインドを理解しコントロールできるようになることを目的にしているとのことです。
世界の構造や宇宙のシステムを理解し正しく自分自身の魂の意義を持って生きていくことに役立てるためのガイドブックになるというわけです。
「暴君」ヂンギス・ハンの真実
モンゴル帝国をつくりあげた「蒼き狼」と呼ばれたヂンギス・ハンもシャーマン、つまりは天から名前を授けられたとのことです。元の名前はテム・ジンです。
母なる地球と父なる天のバランスを保つことによって、その治世は本来、宇宙の法則に則った「人」としての伝統的な在り方を推進するものでした。
例えば、人を奴隷とするのではなく、人類を人のような暮らしにさせることです。
戦争は、その人としての価値を下げるものであり、当時のシャーマンを通じて先祖の残した言葉は「兄弟ゲンカしている場合ではない」というものです。
現代に通じるメッセージとして、いまなお有効です。そのモンゴルは偉大なるリーダー(ヂンギス・ハン)を失ったことにより、崩壊します。そして、ヂンギス・ハンは本来の姿ではなく、後に「暴君」とされたということです。
なるほど。
日本語が堪能なオディ氏は父親が台湾に赴任した際に、台湾を統治していた小学校で一
年生から日本語を学んでいます。楽しい少年時代に、日本の文化を知って「日本に感謝しています」と語っています。
その日本から学んだ「和」と「縁」「ありがとう」という感謝の言葉とともに、彼はいまも美しい国・日本そして日本人に期待しているようです。
「汝ら光となれ。神通力となり世を救え!」との日本人へのメッセージは、先祖の魂にあるデータを呼び起こすような形で、実は「新しいものを学ぶというよりも、忘れたものを思い出す」という表現が正しいと話しています。
世界の多くの人たちが奴隷化する中で、自らの意思で行動できる人としての生き方こそ夜明けの時代に日本人に与えられた使命というわけです。
プーチン大統領のモンゴル訪問
そのモンゴルは、先日、ロシアのプーチン大統領が訪問して、国際的な話題となっています。日本の新聞でも「法の支配に基づく国際秩序を揺るがす重大な事態だ」と社説などでも指摘されています。
理由はプーチン大統領がウクライナへの侵略で、子どもたちを連れさった容疑で2023年3月に国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されているためです。
モンゴルはICC加盟国として逮捕するべきところを、無視してプーチン大統領を国賓として歓迎したわけです。
まあ、戦争はどっちもどっち、力が強い者が勝って、大きな顔をします。特に、ロシア・ウクライナはもともと兄弟同士のケンカです。
さっさと止めれば、ノーベル平和賞でも授与されたはずですが、さすがに今からでは遅すぎます。
その昔、原爆を2発落として、多くの一般市民を一瞬にして殺害し、いまも後遺症に悩む被害者を生んでいるアメリカは、特に罪とされることなく、日本が戦争犯罪人となっています。とはいえ、日本とアメリカは戦争における不幸なできごとを乗り越え、いまは同盟国として固い絆で結びついています。
その日本の実態はアメリカの“属国”ではあっても、表向き両国の関係は世界の平和を実現する上で、唯一の解決策、典型的な成功モデルとなっています。
その日本で、なぜか現在はブラジルに住む楠野裕司氏が代表世話人となり、日本とモンゴルとの友好イベントが開催されるのも、世界の将来を考える上で、実に象徴的な、意味のあるイベントだとの思いを深くします。
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