NPO法人「QOLサポート研究会」 第25回講演会
免疫力とペットの力、そして音楽の力
「種の壁」を超えつつある感染症
2023年12月13日「ミューザ川崎」で開催されたNPO法人「QOLサポート研
究会」第25回講演会に行ってきた。
会場内の座席の上に資料と一緒に酸素補給水WOXが置かれている。
今回の「開会の辞」は「福岡徳洲会病院」の織田慶子氏。WOXの効果をわかっている
からこそ、メディサイエンス・エスポア株式会社協賛の講演会のあいさつに登壇するわけ
だが、正直な感想として「科学者としては、よくわからない面があるが」と語っていた。
アメリカで新物質特許を取得していても、酸素水以外の水やいわゆる酸素水との違いが
よく理解されていないこともあり、同研究会の松本高明理事長は「活動報告」の中で、酸
素包摂水和物は通常の水とちがって、酸素が水分子に包まれているため、開栓しても、熱
をかけても酸素は抜けないこと。通常の水や酸素とちがって、酸化しないため、医薬品や
サプリメント、化粧品などに使用できることを、改めて説明していた。
講演会の常連である鳥インフルエンザ研究の先駆者である大槻公一・鳥取大学名誉教授
の、今回のテーマは「人への感染脅威が再び高まっている鳥インフルエンザ」である。
相変わらず各地で起きている鳥インフルエンザと、このところあまり話題にならなくな
ったコロナウイルスに関する世界の状況をデータとともに説明しながら、鳥インフルエン
ザが渡り鳥やカラス、そして鳥から他の動物、家畜へと広がってきて、中国などでは人間
に感染していること。ただ、いまのところ感染した人間から、他の人間には感染していな
いと語っていた。
本来「種の壁」があるとされてきたが、その一角が崩れて、そのうち感染するはずであ
る。感染するかしないかは、要するに免疫力のおかげである。
免疫力が下がれば、あるいはウイルスが力を発揮するような状況があれば、人間にも感
染する。そうしたことは科学・医学の世界を知らなくても、マクロビオティックの世界で
はずっと言われてきたことだ。
その昔、マクロビオティックを欧米に広めた桜沢如一の弟子として、ボストンを拠点に
した指導者・久司道夫氏は、70年代、80年代に「ガンの原因は食事にある」と言って
も、まったく無視されたと話していた。
あるいは、医原病・院内感染・薬剤耐性菌などが問題になっているが、ゴキブリにしろ
ウイルスにしろ、敵と思って叩けば、相手はリベンジしようと、より強烈な存在となって
立ち向かってくる。
抗菌、滅菌などの薬剤を使って、そのときは良かれと思って、菌やウイルスを殺して、
清潔でクリーンな環境をつくる。それで解決したつもりが、実際には薬剤を使った清潔な
環境が感染症に対する免疫力を削ぐことになる。
その結果の耐性菌、院内感染、コロナ感染症の爆発であると思うのだが、不思議なこと
に科学者はそうは考えないようだ。
種の壁について、最近は「極端な天候や海面上昇などを招く地球温暖化で、野性動物の
ウイルスが種を超えて広がるリスクが高まっている」との、米ジョージタウン大学などの
チームの研究結果が英科学誌に掲載されたと「日経新聞」(2022年7月3日)に紹介
されている。
原因はさておき、実際に未知のウイルスが「種の壁」を突破という現実、可能性が大槻
教授の報告からも見えつつあるわけである。
マクロビオティックでは「食べ物」が人間をつくるという考え方からは、鶏肉を食べれ
ば極端なことを言えば、鳥になる(?)。実際には、いつの間にか挙動や癖などが鳥に似
てくるということだ。
栄養がある、健康のためと信じて、一生懸命タマゴを食べ鶏肉を食べていれば、やがて
ニワトリに似てくる。結果、鳥インフルエンザは、狂牛病が問題になった当時から「やが
て種の壁を超えて、人間にも感染する日が来るはずである」と見なされてきた。その予想
どおりの展開である。
そこでは、殺菌やワクチンよりも、例えば酸素を補給して、免疫力を高めることのほう
が、SDGsが問題になる時代には相応しいということだというのが「ウエルネス@タイ
ムス」の立場である。
ペット(動物)セラピーの時代
今回のゲストスピーカーは「動物と人の予防医学研究会」を2023年9月に設立した
中江大理事長(帝京平成大学教授、東京農業大学客員教授)である。
同研究会は「多岐にわたる分野からの参加者が持つ知識・経験・アイデアなどを結集し
て、動物と人の健康増進と良好なQOLの達成につながるイノベーションを図り、情報発
信を行うことを目的にした」ものだ。
具体的な活動は、これからのことだが、一つは学術発表。もう一つはホームページによ
る情報の発信・交換などの取り組みである。
設立した大きな目標は一つが「動物と人のインタラクションによる『予防医学』:双方
のQOL向上、健康維持、健康寿命延伸を図るためのプラットフォームになる」というも
の。
もう一つが「動物を対象とする機能性食品・飼料カテゴリーの設定につながる提案を行
う」というもの。そのためのきちんとしたシステムの構築につながる提案。ガイドライン
づくりを行うことによって、動物と人のための新たな研究テーマに、そして新たなビジネ
スチャンスになる場を目指す。
そのベースとなる考え方は「動物の健康と人の健康、そして生態系の健康は、不可分で
あること。動物の健康、人の健康、生態系の健康という3つの良好な関係が、現在、世界
的に問題になっているSDGs(持続的な開発目標)の達成にも貢献する。
動物セラピーなどが注目される一方で、ペット用サプリメントの表示、広告などの在り
方が問題にされている時代に、新たな「動物と人の予防医学研究会」の設立は、いまごろ
?といった印象もある。と同時に、今後の活動・展開が期待される。
音楽の力を教えてくれた母親の介護
「道上ワイン」(ボルドー産)の試飲の後は、一般社団法人「日本発声医学協会」代表理
事を勤める野口千代子氏による「認知症予防における発声体操」である。
体操の前に、彼女は人間の健康・QOL向上のため、いかに発声が大事かを、音楽とい
う学問と母親の介護について報告。音楽の語源について、日本では他の学問分野とは異な
り「楽」という字が使われていることによる誤解があるという。
英語では音楽はMusic。彼女が学びに行ったドイツでは「Musik」である。論
理のLogik(英語ではLogic)の語尾のikは論理に通じる学問を意味する。
日本の「楽」のイメージとは異なる、極めて論理的な学問なのだという。日本の音楽の
楽は、神社の巫女さんが持つ神楽鈴。あるいは雅楽の「楽」から来ている。
ドイツで「発声医学」を学んだ彼女は、声を出すことは、生物として原始的快楽を感じ
ると同時に、身体の健康・QOL向上に効果をもたらす。
「声の振動は身体と心の健康を知らせ、好きな歌は記憶と感情を呼び起こす」と語る野口
千代子氏の話は、近年の科学で注目されてきたキーワードの一つである波動、バイブレー
ションの持つ作用のことである。
目に見えない世界に疎いというか、西洋科学とはあまりなじまない「1/fゆらぎ」で
ある。
彼女は歌の持つ力、声を出すことの重要性を「日本発声医学協会」での活動を通して伝
えてきた。その結論が仮説から確信に変わったのが、2023年に亡くなった母親の介護
を通してわかったことだという。
何度か危機に陥ったという母親だが、生前母親が好きだった歌を歌い始めると、意識の
なかった母親が続きを歌いだしたり、愛唱歌を歌うと目を開けるといった医療の現場では
奇跡としか思えない現象を目の当たりにして、彼女は歌の持つ力の大きさを教えられた。
そんな実証実験となったのである。
感動的な話の後、恒例となっている元気の出る健康・発生体操を会場の参加者全員で行
って、その日の講演会は終わった。次回、第51回の講演会は2024年6月19日に開
催される。
次回を楽しみにしたいと思う。
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