無名ジャーナリストの仕事8  ワクチン訴訟・無水掘工法裁判と山健組三代目組長の裁判

更新日:9月9日

 

 無名ジャーナリストの仕事8 
 ワクチン訴訟・無水掘工法裁判と山健組三代目組長の裁判



 警備ばかりが目立つワクチン訴訟

「武漢ウイルスワクチン特別承認取消請求事件」いわゆるワクチン訴訟について、これま

でレポートしてきた関係から、判決が下される2022年8月2日の東京地裁に行ってき

た。

 11時30分からという裁判の2時間以上前の9時過ぎ、傍聴の手続きに行った。警備

だけは厳重だが、地裁所前には誰も並んでいない。

 10時半ごろ当選者が発表されるというので、11時過ぎに地裁前にもどった。

 なぜか、今回は前回あった当選番号を張り出したボードがない。要は無抽選である。す

でに世間から忘れられているようなものだが、大げさな警備体制は何のためなのか。

 空港同様の持ち物検査の後、法廷のある5階へ案内されて列に並ぶ。メモや筆記用具、

訴訟資料以外の所持品は預けて、番号入りの赤い札を渡された。

 ノートと扇子を手にしていると「扇子は?」とある係官が口にして、別の者が扇子は構

わないと言っていた。再び、法廷前で小銭などを出して、手に持った金属探知機で全身を

チェックされた。ポケットでピーと鳴ったので、何かと思ったら、友人にもらった小さな

コーヒー豆のお菓子2粒が反応した。

「エーッ」という感じだが、薬物などに反応するのだとか。なるほどカフェインである。

 中はほぼ満席状態で、座席番号48に座る。夏休みのためか、一番前にノーマスクカフ

ェの「ヘヴニーズ」キッズらしき3人が並んでいた。






 嫌がらせの中のワクチン訴訟「却下」

 原告側弁護士が着席して、前回同様、空調が効いていないのではないかと文句を言って

いる。意地悪されているのではという思いがあってのことだろうが、裁判所を敵に回して

いいことはない。

 実際に空調の音はしている。猛暑の中、たぶん冷房の設定温度は28度である。

 開廷直前、裁判官3名が登場。弁護士が「通常の裁判であれば開廷の30分前に抽選し

ているのに、本裁判はなぜ2時間前なのか。私の地元の関係者の中には傍聴を諦めた人も

いる」と、通常と異なる対応の理由を追及していた。

 なるほど、明確な嫌がらせ、見せしめだったわけである。

 裁判長が判決文を読み上げる。「主文、原告の訴えはすべて却下」、それだけである。

 弁護士は「判決の理由とかはないのか?」と尋ねたようだが、そのまま閉廷。注目の裁

判は、ひとまず終わり。原告側は控訴するというが、高裁、最高裁の結果も見えている。

 ワクチン訴訟が門前払いで終わることは、いろんな意味で社会的な影響が大きい。

 だが、裁判という折角のチャンスを、原告側には生かそうという姿勢がほとんど感じら

れなかったというのが、当初から見てきた無名ジャーナリストの印象である。

 結果「ウエルネス@タイムス」が推奨してきた新型コロナの確実な治療法が紹介される

こともなく、子どもへのワクチン接種が止まることもない。ワクチン訴訟はまだまだ続く

が、結局のところ関係者のYouTube動画が注目される程度のことである。

 後日、コロナ・ワクチン訴訟を追いかけているジャーナリストの「高橋清隆の文書館」

を検索すると、何と8月1日、なぜかパソコンが使えなくなったという。そのため、しば

らく休止するということで、スマホでの簡単な報告だけになっていた。

 弁護士もジャーナリストも戦い方を間違うと、ロクなことにはならないということだ。

 逆に、結果はさておきヤクザが元最高裁判事を味方につけた裁判もある。



 山口組・三代目山健組組長の裁判

 無名ジャーナリストの仕事は様々だが、特に一般総合誌、週刊誌で仕事をしていると、

通常は縁のない世界の現実をかいま見ることが少なくない。

 すでに時効ということで紹介するならば、例えば、元最高裁判事の自宅に、山口組・山

健組三代目組長の共謀共同正犯事件に関して、手紙を送ったことがある。会って、直接話

を聞きたいと思ったからだ。

 同事件では、もう一人、日本を代表する法学者に手紙を送った後、直接、当時新丸ビル

にあった法律事務所を訪ねている。

 もちろん、彼らが無名ジャーナリストの取材に応じるはずはないが、応対に出た事務所

の弁護士が焦っていたことはよくわかった。

 無名ジャーナリストが、なぜそんなことをしたのかと言えば、某弁護士事務所の顧問で

ある徳島・後藤田本家だという人物から知人を介して連絡があり、上野の老舗料亭で会っ

たことからである。

 話の内容は、三代目山健組組長の共謀共同正犯事件に関して、いろいろ手を尽くして、

雑誌に論文を書いてもらったりしているが、いま一つ力にはなっていない。そこで、無名

ジャーナリストにもどこかで記事にしてもらえればという相談であった。

 料亭の席には顧問の他に、三代目山健組舎弟の名古屋の親分と企業舎弟が同席した。2

001年夏のことだ。




 ヤクザの裁判のバックにいる人々

 頼まれて、できることは何でもやるのが、無名ジャーナリストだとはいえ、ヤクザの組

長の裁判に関して擁護するような記事を書く筋合いはない。

 とはいえ、ヤクザの組長の裁判のため、わざわざ無名ジャーナリストに会いに来るとい

うのも、どこか腑に落ちない。一体、どのような流れから弁護士事務所の顧問が関わって

いるのか。

 聞けば、山健組組長の裁判は、表向き某弁護士事務所が担当しているが、実際に仕切っ

ているのは先に記した元最高裁判事並びに有名法学者だというのである。

 それだけの大物がバックにつくということは、常日頃の両者の関わりによる。多くの政

財界における事件、訴訟案件等に関して、表向きの仕事はさておき、裏方ではヤクザの力

を借りることも少なくないからだ。日本の政財界のトップと法曹界のトップは、彼らと見

えない形でつながっている。

 事件の内容は広域暴力団の取締りが強化されている中、1997年12月に組長のボデ

ィガードが拳銃を不法所持していたことから、トップである組長が逮捕されたもの。組員

の犯罪に関して、組長にも責任があるという共謀共同正犯が成り立つかどうかが問題にさ

れていた。

 共謀共同正犯の問題点について、もともとヤクザを捕まえるための法解釈で、通常は企

業の従業員が何か犯罪を犯したとき、社長が逮捕されることはない。なぜ、証拠も不十分

なままヤクザだけが配下の罪の責任を問われるのか。

「疑わしきは罰せず」という原則、法の下の平等、民主主義等の原則に反するというのが

組長擁護の論点のようであった。つまりは、一ヤクザの組長の問題ではない。社会正義が

侵されるかどうかの問題なのだということで、無名ジャーナリストに声がかかった次第で

ある。

 とりあえず、取材を始める前に、本当に元最高裁判所判事と有名法学者が関わっている

のか、確認するとともに、聞き慣れない共謀共同正犯の解釈と矛盾点などを聞きたいと思

ったわけである。

 結果的に取材は、その後「必要なくなった」ということで中断。記事にすることはなか

ったが、そのとき明らかになったことは、多くの問題にヤクザが裏の仕事をしてきたとい

う歴然たる事実と世話になった組長の裁判に借りを返す形で、法曹界のトップ監修の下、

有名弁護士事務所が動いていたという事実である。

 法曹界が、ある意味いい加減だということは、裏社会とのつながりだけではない。


 素人に判断を委ねる裁判員制度

 司法試験はいまも難しい資格試験だということは、世の中の常識である。そんな超エリ

ートの世界にも、様々な矛盾や変化が起きている。

 個人的にビックリしたのが、2009年5月にスタートした裁判員制度である。国民の

中から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度だが、早い話、その本質は最難関の司法

試験に受かった法曹界のエリートが、自ら得た権利と義務と責任をいわば素人に任せて、

判決に参加してほしいというものだ。

 長い歴史のある米国の陪審員制度ほどの独立性はないが、日本でもいろんな理屈をつけ

て始まっている。だが、最終的な判断を素人に仰ぐといういい加減さに変わりはない。

 想像するに、死刑に一票を投じるのは、裁判官とはいえ、人としてかなり抵抗がある。

その判断を素人に委ねられるのだから、少しはその責任の重さから逃れることもできる。

 背景には、もともと死刑が必ずしも合理的な制度だからではないという現実と、世界レ

ベルの死刑廃止論の流れもある。

 さらに言うならば、裁判員はあらゆる犯罪を無罪(有罪)にできるということだ。フェ

イクニュースが蔓延する現在の世界を見ればわかるように、メディアや権力が黒を白に、

白を黒にすることは日常茶飯事である。

 例えば、裁判員に指名された誰かが、あらゆる犯罪に対して無罪に一票を投じる。どう

せ、極悪犯が無罪になることなどないだろうが、その一票が「エッ?」という形で、彼ら

の心に響くことがあるかもしれない。

 第一、法律の限界は世の中の出来事を見ていれば、よくわかる。厳罰に処すことで殺人

や犯罪が減るのかと言えば、そんなことはない。逆に、死刑があるから、多くの凄惨な事

件が起きているのが、昨今のいつわらざる状況である。

 犯人はいつも何というのか。「自殺できなかったので、他人を道連れにした」「人を殺

せば死刑になると思った」等々。この8月にも、渋谷で母娘2人を刺した中学3年の少女

(15)が「死刑になりたくて刺した」と、その動機を語っている。

 死刑があることによって、多くの悲惨な事件が起きていることは、何か腑に落ちない事

件が起きる度に、明らかになっている。



 上告棄却となった無水掘工法訴訟

「ウエルネス@タイムス」第9号で「建設談合の闇に挑む無水掘工法裁判」について、メ

ディアに取り上げられない「オーナーシステム」永見博希代表の孤独な戦いを紹介した。

 いわゆる「滋賀県NETIS住民訴訟」は高裁で原告側の訴えが棄却された後、上告受

理申請書を提出していたところ、2022年7月29日、最高裁で「上告棄却」の判決が

下された。

「裁判官全員一致の意見で、次の通り決定」とある。いわば「門前払い」である。

 その結果からは、最高裁がどこまで、一審二審の審理内容、判決を精査したかに関して

は聞くまでもないだろう。

 基本的に三権分立を旨としている司法の場といえども、最終的な裁判所の使命は体制の

維持、国を守ることである。

 そこでは無水掘工法の矛盾も、なぜ永見博希代表が、たった一人の戦いを長年続けてい

るのか、その思いに向き合うこともない。いわば血の通わない結論ありきの判決であり、

改めて司法の在り方について考えさせられる結果となっている。



 元高裁判事が語る判決の真実

 なぜ、無水掘工法裁判は敗訴になり、最高裁でも却下されたのか。

 永見代表並びに無名ジャーナリストにとっては不可解な対応について、参考になるのが

元東京高裁判事から、辞職後、法政大法科大学院で教鞭を取った後、弁護士となった木谷

明氏(84)の体験である。8月、共同通信の取材で語っている。

 木谷氏は東大法学部4年のとき、留年して1年間、猛勉強して司法試験を突破。司法修

習を経て配属されたのが、東京地裁刑事部であった。本当は民事部志望だったというが、

理由が聞いて呆れる。

「刑事裁判修習は全く面白くなかった。被告人の言うことを聞かず、刑事の言う通りに有

罪認定するので」と。

 しかも「実際の刑事裁判も修習と同じだった。被告が否認しても、裁判長は『あんなこ

とを言ってるよ』と鼻で笑って、ろくに事実を調べもせずに有罪判決を下した」というの

である。

 そんな刑事裁判で、彼は被告の弁解を細かく聞く良識ある裁判長に出会って、彼もまた

多くの無罪判決を書いたことにより、伝説の刑事裁判官として、人気漫画が原作のテレビ

ドラマ「イチケイのカラス」に登場する人権派裁判官のモデルとなっている。

 弁護士になった彼は、自ら所属していた裁判所のいい加減さに関して「刑事弁護人とし

て公判に臨むと、明らかに無罪だと思われる事件でも、有罪認定する裁判官たちと向き合

うようになった。『こちらがいくら主張しても、のれんに腕押しで気持ちが通じない』」

と嘆いている。

 刑事と民事はちがうというが、木谷氏の言う通り、一人で国交省並びに建設業界(ロッ

クアンカー業界、設計コンサルタント業界)と戦う永見代表の言い分に、真摯に耳を傾け

ようとはしない。実にいい加減である。



 新潟無水掘工法協会の誕生

 一連の訴訟の詳細に関しては、次回に譲るが、改めて無水掘工法がいかに脚光を浴び、

注目された技術だったかは、前回紹介したように、他の工法ではできなかった現場2カ所

を見れば明らかである。

 事実、オーナーシステムは急成長を遂げて、いわばボロ儲けをしていたわけである。

 当時、永見代表の一世一代の晴れ舞台となったのが、後の総理大臣・竹下登が選挙の応

援で大阪入りした際に、その司会役を勤めていることだ。

 飛ぶ鳥を落とす勢いで仕事を続けていた1993年、無水掘工法による工事現場が注目

の工事現場として、国交省(建設省)から発表されている。

 突然のできごとに、永見代表は驚いた。それが建設省福知山工事事務所が行った京都府

夜久野町の法面防災工事現場である。従来工法では二次災害の恐れのある危険な工事のた

め、無水掘工法で行われた伝説の施工現場である。

 それら数多くの実績があったからこそ、その後、1998年にNETIS(新技術情報

提供システム)に掲載されたわけである。

 2001年から2004年にかけて、毎年「技術活用パイロット事業」として、国交省

のいわば肝入りの工法として、大々的なPRがなされたわけである。

 2005年11月、そんな無水掘工法の価値と将来性が評価され誕生したのが、北陸地

方整備局地域防災ドクターの大川秀雄氏(新潟大学地域共同研究センター長/現・新潟工

科大学学長)を会長にした「新潟県無水掘工法協会」であった。

 大川教授は新潟大学工学部長当時「水を使わないで法面工事ができるだけでも、無水掘

工法は素晴らしい技術だ」と語っていた。

 その技術が、NETISで本格運用となってから、使用されなくなったのだ。

 会長に担ぎだされた大川教授の面目も丸潰れである。


 無水掘工法裁判の棄却の真相?

 いまさら指摘したところで、後の祭りだが、敗訴になった理由は、儲かっていた無水掘

工法が、なぜ使われなくなったのかを、法廷の場では説明しなかったことだろう。

 建設工事と設計のルールを問題にするばかりで、なぜそんなルールができたのか。その

変遷を含めて、ルールの背景、要は根本のところをクローズアップーしないまま、枝葉末

節を問題にすることによって、何が問題なのかわからなくなる。被告側弁護士の“煙幕戦

術”に引きずられた結果の敗訴といわざるを得ない。

 法廷闘争的には、敗因は大きく言って2つあると思われる。

 一つが、近年は使用実績がないということに関して、実際にはオーナーシステムの無水

掘工法の実働部隊である株式会社「ソルテック」(塩田彰社長/LLP有限責任事業組合

「無水掘工法設計比較検討支援事務所」協会員)が無水掘工法によって急成長し、結果、

スリランカでのODA事業プロジェクトに元請JVとして参加するまでになっている。無

水掘工法の実情を知ってもらうために、なぜ証人申請しなかったのかということだ。

 もう一つは、国交省に対するヒヤリング資料を、肝心の第2審で法廷資料として提出し

ていないことだ。

 若手弁護士が反対したとか、意味不明の説明があったようだが、第一審での棄却という

実質的な敗訴の後、原告側弁護士に戦う姿勢が消えた結果としか思えない。

 無名ジャーナリストの仕事では、最初は社会正義その他、諸々の事情から内部告発、社

会的な告発をスタートさせた当事者が、やがて相手の大きさに気がつくことによりビビッ

て、やがて後ろを振り返ると誰もいなくなっている。

 一時立ち上がった弁護士を攻めることはできないが、無名ジャーナリストにとっては、

よくある話である。




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