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「日本熊森協会」主催 第2回「全国再エネ問題連絡会」を見に行く  全国大会in兵庫 夙川公民館    無名ジャーナリストの仕事 

更新日:2023年9月4日


 「日本熊森協会」主催 第2回「全国再エネ問題連絡会」を見に行く
  全国大会in兵庫 夙川公民館    無名ジャーナリストの仕事 



 再エネブームの実態

 最近は、春になると、あちこちでクマに襲われたとか、市街地にクマやイノシシが現れ

たといったニュースを目にする。牧場の牛を次々と襲って恐れられた至上最凶の熊OSO

18が、ついにワナにかかって死んでいたというニュースもあった。

 彼らが生きる領域が、どんどん失われていった結果だが、人間の都合、つまりは経済の

都合オンリーで、自然環境保護は言い訳として用意されているだけで、現状は無法地帯と

化した結果の森の荒廃がある。

 少子高齢化の時代とはいえ、食糧のおよそ38%を海外に依存している中で、耕作放棄

地をはじめ、里山の荒廃など、課題は山積している。

 林業も似たようなもので、では、何をどうすればいいのか。多くの議論はあるが、これ

と言った解決策は見当たらないまま、いつの間にやら、日本の多くの森林は中国資本に買

い占められ、再生エネルギーブームを追い風に、こちらも中国資本が密接に関わるソーラ

ーパネルや風力発電が、日本の自然をますます窮屈なものにしている。



 各地からの報告

 無名ジャーナリストは一般財団法人「日本熊森協会」(室谷悠子会長)の応援会員である。そのため、しょっちゅう全国各地で行われる関連イベントの案内が届く。

 頼まれれば、どこにでも出かけていくのをモットーにしているが、なかなか思い通りに

はいかない。

 そんな中、2023年7月22日、兵庫県西宮市の夙川公民館で開催された「全国再エ

ネ問題連絡会」第2回 全国大会in兵庫に出かけてきた。

 会場とオンライン合わせて約230名が参加した連絡会は「再エネ自然破壊から国土を

守りたい人 みんな集まろう!」と呼びかけ「住民が声を上げることから始まる」という

主旨による全国各地からの実態、活動報告がなされている。

 当日のプログラムは、鈴木猛康・山梨大学名誉教授の基調講演「増災〜日本列島崩壊に

至る再エネ開発〜」、同連絡会共同代表の室谷悠子(日本熊森協会会長)による報告「国

の再エネ規制はどう進んだか?」、各地からの報告として宮城県加美町の猪俣弘氏(加美

町の未来をつくる会共同代表)による風力発電に関して、兵庫県新温泉町の山地弘純氏(

新温泉町いのちをつぐむ会)による風力発電に関して、京都府京丹後市の永井友昭氏(市

議会議員)による風力発電に関して、山梨県北杜市の坂由花氏(太陽光パネルの乱立から

里山を守ろう会・北杜連絡会)によるメガソーラーに関する報告が行われた。

 後半は、長崎県宇久島の有吉靖医師の講演「風車病は実在する」に続いて、北海道の佐

々木邦夫氏(北海道風力発電問題ネットワーク代表)による風力発電に関する報告。北海

道石狩市の安田秀子氏(同副代表)による洋上風力発電に関して、熊本県水俣市の中村雄

幸氏(ちょっと待った!水俣風力発電代表)による風力発電に関して、そして山形県鶴岡

市の草島進一氏(ラムサール湿地近接風車建設に反対する会)による洋上風力発電に関す

る、各地での精力的な取り組みが報告されている。

 最後は全国再エネ問題連絡会・共同代表の安藤哲夫氏による大会アピールと盛り沢山で

ある。



 良かれと思った開発

 今回の報告等を聞いていると「住民が声を上げることから始まる」ということが、よく

わかる。ほとんどたった一人から始まった戦いはやがて少しずつ賛同者を得て、いまでは

大きな力になっている。

 そのことを実感させるのが、これまでいつくもの再エネ計画を修正・撤回を実現してき

たこと。特に、今回も2019年3月発足した「真の地産地消・地域共生型エネルギーシ

ステムを構築する議員連盟」会長である自民党・古屋圭司政調会長代行から、行き過ぎた

開発に対する危機感を共有するビデオメッセージが届いていることだろう。

 以前から、日本熊森協会並びに再エネによる自然環境破壊に関して、自民党の有力政治

家が問題点を直視、熊森協会の趣旨に賛同するなど、それなりの対応を行ってきている。

その一方で、先ごろ、永田町を揺るがしているのは、相変わらずの政治家と再エネ業者の

癒着である。

 この8月、秋本真利衆院議員が風力発電会社「日本風力開発」から不透明な資金を受領

したとされる事件が勃発。地検特捜部の追求を受けて、外務政務官を辞任、自民党を離党

している。もともと秋本議員は風力発電など再エネを推進する立場を明確にしていたとい

う。

 問題の根は深い。基調講演で『増災と滅災』(理工図書)の著者でもある鈴木猛康・山

梨大学名誉教授は「良かれと思った開発は、本当に良いこと?」と問いかけて、再エネ開

発による増災が、日本列島崩壊に至る仕組みを、歴史の中から明らかにしている。

 増災とは鈴木教授によれば「人為的政策、施策によって災害発生の素因を大幅に悪化さ

せ、大規模災害の発生リスクを高める行為あるいは施策である」。人災と似ているが、異

なるという。

 現代は増災の危機に満ち満ちている。

 講演では100年間に4回の遷都が何をもたらしたかを藤原京、平城京、長岡京、平安

京を例に、開発と災害の因果関係を明らかにしながら、森林における行き過ぎた再エネ開

発こそが、増災のリスクを高め、日本列島崩壊をもたらすと指摘している。



 再エネ推進一本槍の経産省・環境省

 政治家も大きく立場を異にするようだが、そもそも経済産業省の立場がどう考えても、

再エネ推進一本槍のようである。

 鈴木名誉教授は、講演の冒頭。山形県遊佐町で推進されている洋上風力発電をめぐる2

023年3月に行われた住民説明会で、北海道大学の田鎖順助教授が開発したシュミレー

ションソフトを用いると、風車が建設された場合、不眠症250名、睡眠障碍者1万30

0名が発生するとの試算結果が得られている。この研究結果は学会誌に発表されているも

のだが、健康被害について、どう考えているのかを質問。それに対する経済産業省の回答

を紹介している。

 回答は「そのシュミレーションの妥当性がどれだけ検証されているが疑わしいし、条件

が現実を反映していることが明確にならないと、風車の影響があると評価を下すのは難し

い」というわけで、要は最初に結論ありきなわけである。

 講演「風車病は実在する」の長崎県宇久島の有吉靖医師は、風車病は実在すると断言す

る一方で、一番難しいところは、みんなが風車病になるわけではないということだと指摘

する。

「私たち医師からすると、風車を止めたら、それまで辛かった人が改善したとなれば、風

車が原因だと見る。その当たり前が通らないのが環境省だ」と述べている。



 低周波公害とバードストライク

 1980年代以後、日本の高度経済成長期に問題になったのは、経済成長がもららす負

の遺産である様々な形の公害・環境破壊である。

 水俣病はその典型だが、無名ジャーナリストが最初に取材することになったのが「見え

ない公害」として、神奈川の国道沿いで問題になっていた低周波公害であった。

重いトラックの振動、排気ガスの問題もあって、体調不良・不定愁訴を訴える住民が続出

した。密かに社会問題となっていたが、被害は個人差もあり、確かな因果関係が特定され

ないまま「見えない公害」として深刻化していた。

 高圧送電線等の施設、空調の室外器など、低周波の被害は至るところに見られたが、そ

の一方で、低周波治療などの医療技術もあり、放射線も低周波も単純ではない。

 その後も、低周波の被害はいろんなところで耳にしたが、そんな中で、もっとも多かっ

たものの一つが風力発電施設である。

 日本の狭い国土に風力発電風車が、豊かな自然にマッチするのかどうか。風力発電をは

じめとした再エネ施設を美しいと思うか、醜いと思うかは人それぞれとはいえ、個人的に

はどこか違和感を感じていた。

 違和感の正体を知ったのは、グッドデザイン賞を受賞した風力発電装置を開発したベン

チャー企業の取材をしたときのことだ。

 騒音、低周波公害は当然のことだが、強風のときには装置を止めるとか、日本の気候風

土ではナンセンスな実態があること。そして、バードストライクなるものを知ったのも、

そのときである。

 バードストライクとは、鳥類が人工構造物に衝突することを言う。いまでも、航空機の

ジェットエンジンに衝突する事例が絶えないが、風力発電風車は沿岸部にしろ、山地にし

ろ、自然環境の豊かな地につくられることから、貴重な大型鳥類が犠牲になっていたので

ある。

 そこまでして、風力発電を積極的に推進する必要があるのかと、疑問に思ったことを覚

えている。



 「大会アピール」宣言

 全国再エネ問題連絡会は、今回、第2回の全国大会だが、2023年4月現在、全国4

8団体が加盟している。室谷氏(日本熊森協会会長)と安藤哲夫氏が共同代表になってい

る。

 多くの活動はたった一人から始まるものであっても、一人の力には限界がある。再エネ

開発と熊森の活動には、分けられないため、2つが一つになって、当然でもある。そこで

は1+1は2ではなく、ずっと大きな力になるからである。

 鈴木名誉教授は、専門学者として各地の防災アドバイザーを務めている。2021年に

は森林には原則として太陽光パネルを設置しないという山梨県の条例制定にもかかわって

いるという。

 その鈴木名誉教授は、今回新たに「日本熊森協会」の顧問に就任している。強力な援軍

を得たということだろう。

 とはいえ、増災は昔から繰り返し行われてきたことだ。増災ではなく、滅災へと向かう

のは一筋縄にはいかないが、結局のところ「住民が声を上げることから始まる」ことだけ

は確かである。

 大会の最後は「大会アピール」として、安藤哲夫・共同代表による「宣言」が読み上げ

られた。

「地球という星は、光・大気・水・土に覆われている。そのすべてを享受して生物は存在

している。今、私たちは、人間だけの星ではないことに気づく時だ。地球上に存在する、

あらゆる生物と共に生きていることを自覚しなければならない。山も川も土も草や木も、

それを取り囲む海もその存在に感謝し、愛し守り続けることが私たち人間としての最も重

要な使命である」

 全国再エネ大会における様々な取り組みに頭が下がる思いがする一方、今頃、こんな

「宣言」をしなければならないことに、希望と不安が入り交じった気分にもなる。



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