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 弘法大師・空海は現代の「HERO」というミュージカル 2024年7月14日 新潟公演の参加者募集・説明会を訪れる!


 弘法大師・空海は現代の「HERO」というミュージカル
 2024年7月14日 新潟公演の参加者募集・説明会を訪れる!



 「HERO」の現代的意味

 2023年12月17日、新発田市「豊浦地区公民館」で行われるミュージカル「HE

RO」の参加者募集・説明会の様子を見に行った。

 当日、京都から新幹線を乗り継いで、新発田に向かうと、朝から北日本、日本海側は暴

風・大雪など荒れた天気になり、在来線に運休や遅延などの影響が出ていると、ニュース

になっていた。

 そんな中、何とか会場に到着した。

 空海に関する映画やテレビなどが、なかなか思い通りには行かず、様々な障害に見舞わ

れることは、これまで数々の空海ものを手がけてきた人たち、業界の常識である。

「ウエルネス@タイムス」記者は、弘法大師・空海並びに真言宗には不思議な縁がある。

宗教問題以外にも、お世話になった真言宗僧侶の紹介で米ボストンを拠点に世界にマクロ

ビオティックを広めていた指導者・久司道夫氏を訪ねたり、日中国交正常化20周年を記

念して製作された日中合作映画「曼陀羅/弘法大師・空海」の撮影が進む中国に行って、

プロデューサーの案内で空海の修行の足跡を訪ねて、記事にしたこともある。

 昔の日中合作の映画「空海」の際も、いろんなトラブルというのか、いまだ空海の法力

が影響しているとしか思えないような事象が起きて、映画化にしろ、テレビ製作にしろ、

多くの困難があると話していた。

 今回のHEROも似たようなもので、吹雪の中での説明会は、空海が深く関与している

現れでもあるようだ。

 傘など吹き飛ばされそうな吹雪の中とはいえ、駅からは徒歩10分。歩けないわけでは

ない。新発田駅から在来線で1つ目の無人駅「中浦」にはタクシーなどもない。

 そんなナンセンスな状況とはいえ、かつて「空海」のやっていたことを思えば、とても

「大変だ!」などとは言えないだろう。

 だが、世間は不平と不満に満ちている。その背景には嫉妬と欲望と様々な人間の感情エ

トセトラがセットになって、歪んだ日本社会・世界をつくり出している。みんな「自分大

事」と、我れ先に不平と不満を言い合う時代の産物である。

 現代日本で弘法大師・空海のミュージカルが行われる意義もまた、そこらへんにあるわ

けだが、同時にミュージカルは「ある青年僧の青春」「HERO」と、正面から空海とは

謳っていない。

 新潟の公演でも、市をはじめ教育委員会などに後援を依頼したというが、空海つまりは

宗教的な背景がテーマの催し物には、後援しづらいと言った事情もあるのだとか。そうし

たいきさつもまた、世間を暮らしにくくしているものの正体である。

 タイトルから「空海」が消えた理由

 3時過ぎからの説明会で、松岡春和氏(佐藤春雄)の話を聞けば、この公演自体が意味

のあるイベントだと、よくわかる。



 今回の「ミュージカルHERO〜ある僧侶と青年の物語〜」は、もともと「ミュージカ

ル空海〜HERO〜」として、2023年10月、第75回高知市文化祭行事「かるぽー

と」リニュールオープン記念ミュージカルとして、上演されたものだ。

 2日間の公演で1800人を動員した「スガジャズダンススタジオオリジナルミュージ

カルである。

 原作・脚本・総合プロデュースの松岡氏は、國友裕一郎氏が代表を務める「スガジャズ

ダンススタジオ」に在籍。國友代表の父・國友須賀氏が残した踊りとお祭りの文化を通じ

て、世の平和活動を芸術(アート)の分野から世界に発信すべく須賀IZANAI連の活

動を行っている。

 だが、初演の高知市からなぜ、次は新潟なのか? 

「ささえあい生協」の高見優理事長から、今回のイベント案内が届いたときに、最初に浮

かんだ疑問である。

 知らなかったが、近年、新潟に定着。夏のメイン行事の一つになっている「にいがた総

おどり」は、松岡氏が立ち上げに関わっている。

 松岡氏並びにスガジャズダンススタジオとの交流から、今回のミュージカル実行委員会

の横山恵美「Earth Rainbow Fasta」代表が、高知で行われたミュー

ジカルを見に行ったときに、深く感動して「ぜひ新潟でもやりたい」とお願いして、実現

することになったものだ。

 松岡氏の活動は奥が深い。



 仏教界衰退の一因?

 高知と新潟が協力する一方で、高知での開催に当たっては、空海が真言宗の開祖だが、

四国八十八カ所巡りは真言宗には限らないこともあり、当初、同じ仏教界の各宗派に協賛

・後援を願い出たところ、浄土真宗にしろ、日蓮宗にしろ「他宗派のため、協力はできな

い」とのことで、ミュージカルの後援・協賛欄には「真言宗」以外の仏教宗派の名前は出

てこない。

 何かと物入りな時代に、単純におカネを惜しんだのならまだしも、カネよりも縄張り意

識といった狭い了見での判断ということか?

 その意味では、実にわかりやすい反応でもあるが、狭い日本で、どんな面子と立場、あ

るいは利権があるのかはわからないが、よくある対立・排除・忖度・無視といった愚かと

しか思えない振る舞いを展開しているのだから、世界で戦争や争いごとがなくならないわ

けである。

 おまけに、その狭い了見が自らの仏教界衰退の大きな原因の一つだとわかっていないの

だから、宗教界の見通しは明るくない。

 高知での公演では、地元でもあり、四国霊場会土佐部会、在大阪・神戸インド総領事館

の名前があるのが、救いかもしれない。四国霊場八十八カ所には、真言宗以外のお寺もあ

る。また、これからインドの時代が来ることは、すでに知られている通りである。

 ここ豊浦公民館でのイベントは、そんな残念な世相に大きな光明をもたらすイベントだ

ということも、行ってみればよくわかるはずだ。





 プロジューサー松岡春和が見た夢

 説明会の最後に、高知でのミュージカルのダイジェスト版が流された。

 2023年は弘法大師・空海生誕1250年という節目の年である。タイミングが絶妙

であり、高知は生誕地でもあることから「空海」が公演タイトルになっているが、新潟で

は若い世代にも共通のテーマとなるとの松岡氏の思いもあり、「HERO」(ある僧侶と

青年の物語)とすることになったという。

 ミュージカルは「HERO」は2幕で構成されている。

「第1幕」

 オープニング(よさこい天の祝人ha・fu・ri・to)

 プロローグ

 若者たちの心の声

 魂の旅〜仏陀の時代〜

 魂の旅〜空海の目覚め〜

 夢の中の僧侶

 遣唐使

 赤岸から長安へ

「第2幕」

 予言された後継者

 インドへの旅

 必然の旅

 空海の功績

 HERO

 そして、最後はオールキャストでの「青く光る」という感動の演出とともに、フィナー

レへと向かう。






 仁和寺に行け! 

 ミュージカルは松岡氏が15歳のころに見た夢から始まるストーリーである。

 もともとは、高知市から「何か舞台を」と頼まれて始まった。

 そのとき、松岡氏は迷わず「ぜひ、空海をやりましょう」と提案した。それが2020

年のこと。当時、公演の年が空海・生誕1250年の年だということなど知らなかったと

いう。

 しかも、原作などないため、松岡氏が一から構想して作り上げた。こうした展開自体、

不思議としか言いようがない。

 15歳のころに見た夢は、ある僧侶が夢枕に立って「何で、もっと早くせなんだ!」と

彼を羽交い締めにして、ものすごい形相で言ってきたものだ。あまりにも強烈な夢だった

ため、ずっと忘れられなかった。

 その僧侶が空海だとは知らずに、彼は23歳のときに京都に旅して、あるホテルに入っ

たところ目眩がして倒れてしまった。

 心臓が不整脈を起こし「これで自分は死ぬ」と覚悟したとき、部屋中に響きわたる声で

「仁和寺に行け!」と命じられたのだという。

 その声に従って、仁和寺に行くと、入り口に夢で見た僧侶を描いた掛け軸がかかってい

た。たまたま通りかかった門跡様に尋ねると、その人物こそ弘法大師・空海であった。

 空海が行かなかったインド

 ミュージカル「HERO」は、現代と空海の生きた時代が交錯しながら、時空を超えた

不思議なストーリーとして展開していく。現代の悩める青年・舞人が、インドに行って、

帰ってきてから、人のために生きる決意をしていくという物語である。

 ミュージカル空海とともに、もう一人の主人公である青年・舞人が、校舎の屋上から飛

び下りるシーンから始まる。彼は自殺者数が、年間2万人を超える日本を象徴する悩める

青年の一人である。

 その彼は、奇跡的に助かり、肉体から魂が抜け出て、いろんな時代を旅していく。

 インドは当時、唐とともに、本当は空海が行きたかった仏陀の国・仏教の本場である。

ミュージカルでは、その空海の思いを創作という形で、空海の代わりに、青年がインドに

旅をして、様々な出会いと気づきを得ながら帰ってくる。

 インドへの旅が「必然の旅」というわけである。しかも、ミュージカルの舞台で、唐に

おける空海の先導役となる、遣唐使の一人・最澄とともに唐に渡った天才学者・石川道益

役を、石川道益の末裔である松岡氏の長男が演じているという。

 以下、詳しく紹介する余裕はないが、ミュージカルは松岡氏の事実に基づいた個人的体

験と空海の歴史的事実を、創作という形にして、時空を超えて、現代の若者たちにも伝わ

る内容になっている。



 SDGsの時代のアートイベント

 説明会は「参加者募集」の案内でもある。

 大人たちが次の世代に示しのつかないことをやっている中で、会場に集まった子どもた

ち、若者、女性陣は、当たり前にイキイキと幸せな時間の中で躍動している。そのことが

地域や周りの高齢者たちにも同様の効果を与えている。

 当の本人たちが、そんなことを意識しているとも思えないが、尊い試みである。

 そんな貴重なレッスン体験+αは、習い事・趣味の世界からプロのアーティストへの道

につながるダンス・ミュージカルの世界に触れる、あるいはかいま見ることができる貴重

なレッスン体験、そしてプロと同じ舞台に立てるチャレンジと成長、自己実現の場だとい

うことのようだ。

 演じる、歌う、踊ることを通して「あなたもきっとHEROになれる」という可能性へ

の挑戦というわけである。

 地域、子どもたちを巻き込んでのアートイベントは、目立たないようでも、見る者に感

動を与える。ビジネスにするのが難しいという難点はあるが、本物とはそんなものだ。

 たぶん、そのステージには、今その瞬間の輝きと明るい未来しかない。それは昔、空海

をはじめとした多くのHEROがいたおかげであるという意味において、過去が今そして

未来をつないでいる。

 過去を古い、遅れたものとして切り捨ててきて、かつての「明るい未来」が手に入った

はずの現在、われわれは「こんなはずじゃなかった」と、いまさらながらのSDGsとか

に励んでいる。先祖を含めた地球、過去の持つ価値を大切にしてこなかった結果である。

 そのSDGsも、しょせんビジネス優先の大人たちによる悪あがきにも似た辻褄合わせ

である。17ある目標には、アートもエンターテインメントも抜け落ちている。だからこ

そ、SDGsが叫ばれる時代に、ミュージカル「HERO」が開演される大きな意義があ

るとともに、時代の光明となるはずである。

 様々な要素を詰め込みながら、ミュージカル「HERO」は、老若男女の参加者・サポ

ーターによって、地域を巻き込んでのイベントとして繰り広げられる。

 7月14日、新潟「聖籠町町文化会館」での「ミュージカルHERO〜ある僧侶と青年

の物語〜」の公演が、いまから楽しみな理由である。




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