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「日本創造学会」会員ご一行様 「会宝産業」(近藤典彦会長)見学ツアーに参加する


 「日本創造学会」会員ご一行様

 「会宝産業」(近藤典彦会長)見学ツアーに参加する



 「日本創造学会」設立メンバー

 創造性は20世紀後期、時代のキーワードとして脚光を浴び、持て囃されてきた。それ

は21世紀の今日でも変わりはない。

 日本社会では歴史的に、創造性よりも全体の「和(協調)」が重んじられてきた。そん

な日本だが、高度経済成長を遂げれば、どこの国でもさらなる成長を目指し、低迷を打開

するために必要とされるのが、創造性である。

「あなたの未来を創造する」と、ホームページに書かれている「日本創造学会」が設立さ

れたのは1979年。その前身である「東京創造性懇話会」の発足は1973年。およそ

半世紀前のことだ。

 日本創造学会の知名度がどのくらいあるかはわからないが、能力開発や自己啓発に関心

のあるビジネスパーソンなら、聞いたことがあるはずである。その活動内容もおおよその

想像はつく。

 だが、設立時のメンバーを見ると、どんな組織にも時代の推移との関わり、商品並みの

ライフサイクルあるいは賞味期限があるようにも思えてくる。

 発足時の発起人は教育心理学者の穐山貞登(東工大名誉教授)をはじめ、能率産業大創

立者・上野一郎、心理学者・河合隼雄、KJ法の社会学者・川喜多二郎、公文式の創設者

・公文公、SF作家・小松左京、オムロン創業者・立石一真、NM法の創造工学研究所所

長・中山正和、南極やヒマラヤ等の探検家・西堀栄三郎、未来学者・林雄二郎、ロボコン

博士の異名を持つ工学者・森政弘など、錚々たる顔ぶれである。




 21世紀の創造立国を目指して

 現会長は元ソニーの技術者・田村新吾氏(株式会社ワンダーワークス社長)である。

「ウエルネス@タイムス」編集子は、田村会長とは実姉の田村セツコさん(イラストレー

ター)の誕生パーティで会ったのが最初だが、近年は彼がソニーの歴史博物館で主宰して

いた「創造経営研究会」に、何度か参加している。

 創造経営研究会にしろ、日本創造学会にしろ、不思議に参加者に共通の知人・経営者が

いて、不思議な縁を感じてきたものだ。

 改めて日本創造学会とは、どのような学会なのか。

 ホームページには、次のように書かれている。

「個人の創造性を伸ばしたい、組織・チームの創造性を向上したい、社会・文化の創造性

を育成したいという声が国内外から聞こえてきます。

 人口問題、資源問題、環境問題の厳しい日本が21世紀創造社会をサバイバルするため

にも、最も重要な国策の一つは日本人のもつ創造的問題解決能力、先端科学技術力を駆使

した創造立国です。

 日本創造学会はこの大切な創造性の問題を真剣に考え、議論し、研究している有志によ

って結成された、日本で最も歴史のある団体です。この分野で日本学術会議が唯一認定し

ている登録学術団体(1984年登録)です」

 以上、輝かしい言葉が並ぶが、現在のメンバーを見ると、設立時の一時の熱狂は去って

今は地道に日本の創造性に向き合うことを使命にしている学術団体のようである。

 実際に、2008年の新年度のスタートを前にした「理事会だより」第1号に「日本創

造学会の課題は、会員増と会の活性化!」が掲げられている。会員増と会の活性化は、現

在でも変わらぬ課題だろう。



 近くて遠い?新潟と金沢

「ジャパン・アズ・NO.1」と言われた時代があったことなどウソのような、昨今の厳

しい環境下の日本だが、創造性のヒントはあらゆるところに転がっている。

 そんなわかりやすい事例・ケーススタディとして、田村会長が今回選んだのが、石川県

金沢市の「会宝産業株式会社」(近藤典彦会長)である。

 石川県は富山を挟んで、新潟とは近いイメージがある。

 田村会長が声をかけてきた理由だが、実際に行くとなると、北陸新幹線開通後の近隣鉄

道の再編により、実にナンセンスな状況を余儀なくされている。

 朝、新潟を出てお昼に着く高速バスで約4時間半、5000円。タイミングが良ければ

新潟・金沢間を特急+新幹線で3時間10数分、1万円弱で行けるが、最悪の場合は上越

新幹線で高崎まで行って、北陸新幹線に乗り換えて、約3時間半で金沢まで行くというも

の。時間はさておき、およそ1万8000円と、高速バスの4倍近い。

 近くて遠い金沢に、今回、行きは高速バス、帰りは新幹線+特急で往復してきた。

 いまだコロナが地方で猛威を振るっている中、とりあえず、リアルな企業見学が行われ

るのは貴重な体験とあって、新潟から駆けつけた。

 会宝産業の近藤会長とは、田村会長の紹介で、ビジネス情報誌「エルネオス」で連載し

ていた「ベンチャー発掘!」の取材で、2度ほど会っている。



 生命エンジンに沿う経営「報徳経営」

「生命エンジン」は、日本創造学会の田村会長が「全生物は地球の子である」との事実か

ら導き出した「生命を動かす」、まさにエンジンであり、今回の日本創造学会ツアーに当

たって、以下のようなコメントが届いている。

 生命エンジンとは太陽、月、地球の公転、自転を起こす引力運動である。それは視覚的

には浜辺で寄せ引きする波で見ることが出来、人体の生理にも関連がある。

 生命エンジンは一般的には天道や大自然と呼ばれている。

 人間行動も邪念や我欲を離れ、生命エンジンを敬うことで平和で公正な社会を作ること

ができる。

 生命エンジンに沿う経営を「報徳経営」と呼ぶ。報徳経営の第一人者が二宮尊徳で、そ

の方法が『報徳仕法』として残されている。大自然に触り、口にし、感じることで、飢饉

を予知し、豊作をもたらした。仕法には4面の基本施策が残されており、田村会長は幸せ

をつくる四つ葉経営と称している。発想豊かな人をつくる“芋こじ法”、質の高い作品をつ

くる“温泉商法”、人脈を広げる“湯の譲奪の教え”、そして持続的繁栄をつくる“分度推譲”

である。そんな報徳経営の代表的企業が会宝産業株式会社というわけである。

 そこでの人生は「せっかく頂いた生命(SE)を自分らしく生かし、使い切ることであ

る。洗濯機も手入れが良ければ長持ちする。人体も器械と考え、手入れを怠らなければ、

やがて消耗し、使い切って地球に還ることができる」というものだ。



 宝に会える産業

 2022年4月15日に行われた「日本創造学会」会員一行による会宝産業見学ツアー

は、午後1時半、会宝産業到着後、近藤典彦会長の企業説明の後、質疑応答。海外事業部

課長の案内での工場見学、質疑応答、ディスカッションという構成で、午後5時に終了。

夜は金沢駅近くの料理屋で近藤会長を囲んでの懇親会というものである。

 近藤会長は1947年2月に石川県金沢市に生まれた。父親は味噌麹業、母親は洋品雑

貨店を営んでいた。末っ子の長男として大事に育てられたというが、大学には行かず、東

京の親戚が経営していた自動車修理会社で、3年間、見習い生活を送った。

 仕事は社長の靴磨きとトイレの掃除など。自動車の解体の仕事を知って、将来、クルマ

の後始末が大事になると確信。今日の会宝産業の原点となる。

 1969年、22歳で帰郷。父親から家業を継ぐように言われたが、自分の留守の間、

家業を守ってきた番頭さんに家業を譲って、有限会社「近藤自動車商会」設立した。

 1992年、浄土真宗真実派専修寺の故・大澤信一師の助言により、社名を「会宝産業

株式会社」に変更。文字通り「宝に会える会社」にしたいとの願いが込められている。

「EVERYTHING IS TREASURE」(全ては宝)と書かれた会宝産業の

会社案内には、田村会長が「報徳経営」と呼ぶ経営思想のエキスが、言葉になっている。

「人、モノ、過去、現在、未来、友人、家族、子孫、お客様、お取引先様、社員、地球、

自然、資源、生物、里山、里海、社会、そして自分自身。そのすべてが、わたしたちの宝

です」


 二宮尊徳の「推譲」の法則

 近藤会長が今日の成功を手にする原点となる経営の極意を知るのは、何気ない日常の光

景からである。

 ある時、たらいの泡を一生懸命、手前に集めようとするのだが、一向に集まらない。な

ぜなのか?

 余計な苦労の末、手前ではなく、逆に正面の壁に水をぶつけることで、泡はこちらにも

どってくる。二宮尊徳がいう推譲の法則である。

 それを商売に当てはめれば「オレがオレが」と、一人儲けるのではなく、相手に譲るこ

とによって、お互いがうまく行くという商売の極意に至るわけである。

 同社の会社案内には、田村会長が「報徳経営」と呼ぶ経営思想が、いろんな形で表現さ

れている。例えば、以下のような具合である。

「自分だけがよければいい、という考え方は、もう、古い」

 会宝産業は「循環型社会の実現」を目的にする会社です。資源を循環させることで、美

しい地球を残す。そして世界を平和にする。

「黄金の国ジパングは、神話ではなく、真実である」

 日本には宝があります。中古自動車部品という宝です。そして、日本の自動車リサイク

ルの技術ノウハウも宝です。

「地球を国で分ける発想は、そろそろ終わりにしたいと思う」

 会宝産業は日本の中小企業として、初めて国連が主導する「BCtA(ビジネス行動要

請)」への加盟を承認されました。

「競争の果てにあるものより、協調の先にあるものが見たい」

 静脈産業の産業化と世界規模での拡大は、会宝産業1社の力だけで達成できるとは考え

ていません。

 事実、リサイクル研修センターの設立やリサイクル技術の国際的教育機関となる「IR

EC(アイレック)」や同業者との連携を図る「会宝リサイクラーズアライアンス」を運

営する。

 まさに、他社との協調によって、持続可能な社会をつくることに邁進しているのが、会

宝産業なのである。


 日本の優位性がわかる工場見学

 会宝産業が取り扱う自動車産業の場合、大量の自動車を生産する「動脈産業」の出口に

は、大量に排出・廃棄される不要品がある。それらを回収・解体し再利用・再資源化し、

適正に処分するのが「静脈産業」である。

 そんな静脈産業の第一人者として、近藤会長が創業当時から取り組んできたのが、自動

車解体業、リサイクル業のイメージアップである。

 日本のお家芸である「モッタイナイ」を、そのまま生かしたリサイクル、あるいは今日

の世界の流れとなっている「SDGs」が、解体業からリサイクル業へと、地球規模の循

環型社会の確立を目指す会宝産業の歩みそのものである。

 解体業に限らず、多くの製造業は上場企業、ベンチャーに限らず、一流と言われる企業

の工場に共通する要素は、現場・工場内の掃除が行き届いていて、きれいだということで

ある。

 会宝産業の本業は自動車のリサイクルである。本社脇にあるのも、自動車の解体工場で

ある。自動車関連の廃棄物、ゴミとされる鉄くず、ボディなど、オイル塗れというのが世

間一般のイメージであろう。

 だが、会宝産業の工場は床が黒光りしていても、ゴミ一つ落ちてないと言っても過言で

はないレベルで、自動車修理工場、解体業のイメージからはほど遠い。

 女性が多いことも、現場がきれいな理由の一つかもしれない。事実、工場では若い女性

が小型のブルドーザーを運転して、解体作業の一端を担っていた。

 全世界約90カ国と取り引きを行っている同社の工場には、世界中に輸出される部品が

山と積まれている。

 もともと日本には車検制度があり、モノを大切に扱う国民性もあって、日本のクルマの

部品は中古品とはいえ、高品質とあって、世界中で引っ張りだこだという。

 解体工場、リサイクルの現場を見て思うことは、いまなお世界に冠たる日本の製造業の

優位性である。

 それがいつまで続くのかが問題とはいえ、会宝産業の工場見学ツアーを体験すれば、少

しは日本の良さを見直し、明るい気持ちになれる。


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