top of page

およそ1400年を経て、日本初の女性宰相誕生の歴史的意義  日本初の女帝・推古天皇の時代に戻れ!?    無名ジャーナリスト・早河策毘頼

更新日:11月4日

およそ1400年を経て、日本初の女性宰相誕生の歴史的意義

 日本初の女帝・推古天皇の時代に戻れ!?    無名ジャーナリスト・早河策毘頼


ree

 米・仏に先駆けての女性宰相

「ウエルネス@タイムス」第37号で、2024年9月、前回の自民党総裁選に関して、

ジャーナリストT氏が「候補乱立の自民党総裁選の行方は『神』のみぞ知る? 金のかからない総裁選は『阿弥陀くじ』で決めろ!」と、レポートしている。

 9人が乱立した総裁選は、議員票では一番人気の小泉進次郎氏(75票)、ついで高市早苗氏(72票)、そして石破茂氏(46票)、小林鷹之氏(41票)という順位になった。一方、党員票は高市氏(109票)がトップで、続いて石破氏(108票)、小泉氏(61票)、小林氏(19票)である。

 議員・党員合計では高市氏がトップ、2位が小泉氏だったが、決戦投票で、まさかの石破総裁の誕生となった。要は永田町の論理で決まったのだが、初めから無理があったためわずか1年での退陣となった。

 今回、2025年10月に行われた総裁選では、これまた下馬評では確実と見られた小泉氏ではなく、まさかの高市総裁に決まった。だが、まさかとはいえ、単純に第一回目の投票数では高市氏がトップであった。

 つまり、高市氏は議員票では小泉氏と林芳正氏を下回ったが、党員票を含めた全体票ではトップに立ち、決戦投票では小泉氏有利との情報が圧倒的な中、地方の党員票の人気を味方にする形で、高市総裁の誕生となった。

 それもまた永田町の論理の結果だろうが、前回同様、一回目の投票では高市氏がトップであった。その意味では、順当な結果だということもできる。一年遅れの高市政権の樹立である。

 今回の総裁選後の公明党の連立離脱、日本維新の会との連立などを経ての女性宰相の誕生は、よく言われるガラスの天井を突き破ってのものだと思えば、多少の波風の他、何があっても不思議ではない。

 阿弥陀くじで決めていたら、どうなっていたのか。改めて気になるところである。

ree

 女帝・推古天皇の再来?

 高市首相誕生の歴史的な意義に関して、当初なぜか「日本に初の女性宰相誕生か?」との視点がマスメディアには、さほどなかった印象がある。単純に他の総裁候補者と並列して、いわゆる自民党の派閥・勢力争いの中で語られるだけで、そこでは高市氏が女性という以上に、国防面など、鉄の女・日本のサッチャーといったタカ派・保守として、右翼の代表とのレッテルが貼られていたためかもしれない。

 実際に日本初の女性宰相が誕生して、かつて総裁選にチャレンジした同期の野田聖子、あるいは同じく同期で、今回の総裁選でもコメントしている田中真紀子氏との関係で語られることはあっても、日本の歴史の中で語られることはないようなので、女性初の意味について考えてみた。

 というのも、案外、阿弥陀くじで決めていたとしても、今回は高市氏が選ばれたかもしれないと思ったためである。

 もともと日本は、女神・天照御大神の国である。歴史の教科書を開けば、女王・卑弥呼が登場する。

 戦争好きの男たちに対して、命に敏感な女性は基本的に戦争などは好まない。世の中が荒れて、男たちだけでは立ち行かなくなったときに、女性たちが登場して、すさんだ世の中を再び安心して過ごせるようにつくり変える。まるで荒れた土地を耕して、再び使えるようにしているかのようにも見える。

 乱世に活躍するのは、男性の役割のようにも思えるが、乱世の後に登場すべきは女性のほうが相応しい。

 高市氏の登場が、日本初の女帝・第33代推古天皇の再来に思える理由である。

ree

 崇仏派・排仏派の争い

 推古天皇は蘇我馬子が崇峻天皇を弑逆した後、593年1月、皇位についた。亡き30代敏達天皇の皇后であり、蘇我馬子の姪である。

 日本初の女帝として、即位と同時に甥の聖徳太子(厩戸皇子)を摂政とした。翌年、推古天皇は「三宝を興隆させよ」との詔を下した。三宝とは仏・法・僧のことであり、いわゆる仏教を指す。この詔によって、祖先から伝わる神々に加えて、仏教が我が国に広まっていった。

 もともと、崇峻天皇の即位自体、崇仏派の蘇我氏に対して、排仏派の物部氏が対立。物部氏を滅ぼした後、崇峻天皇が皇位についた。崇峻天皇は蘇我馬子の甥である。

 だが、在位5年、崇峻天皇の離反を疑った蘇我馬子が、配下の者に殺させたとされる。

同じ身内同士の争いである。

 崇峻天皇の後に即位した推古天皇と同時に、摂政となった聖徳太子は、14歳の時、物部氏との争いの中で、蘇我氏の側についたと『日本書紀』に書かれている。

 以後、蘇我氏が権勢をふるうようになる中で、聖徳太子は『三経義疏』(法華経・勝鬘経・維摩経の注釈書)の撰述。冠位十二階と憲法十七条の制定などを行った。それが日本の和の原点である。

 聖徳太子、蘇我馬子が亡くなった後も、推古天皇の皇位は続き、在位36年を数えた。だが、後継を指名しなかったこともあり、いわゆる和の憲法を定めても争いは終わらなかった。

 その後、女帝・第35代皇極天皇の時代に大化の改新へと続いていく。

 ちなみに「大化」は、初めて天皇の詔によって元号を布告することになった最初の元号であり、また「日本」を国号としたのも、大化の改新(646年)によってである。

 つまり、その時代に日本の根本的な在り方が定まったということである。

ree

 あらゆる対立・恩讐を超えて

 およそ1400年前の政(まつりごと)の世界が、大げさに言えば、混迷の時代に蘇ってくるように見えるのは、その背後に身内同士の権力争いの中で弑逆された崇峻天皇の親王・蜂子皇子の存在があるからではないのか。

 蜂子皇子は父を失う悲しみの中にあっても、報復の道を選ばず、当時の権力者・反対勢力から逃れるため、従兄弟である聖徳太子の力を借りながら、京都の由良から海を渡り、宗教的対立を超えた理想郷の建設を目指して、修験の聖地・出羽三山の開祖となった。

 天皇になれなかった「悲劇の皇子」とされている。だが、その生涯は恩讐を超え、あらゆる対立を克服することこそが、平和へ至る道だということを、生き方を通して示している。争いが絶えない今日、改めてその存在が脚光を浴びるべき価値がある。

 長い天皇の歴史の中で、ただ一人、弑逆された崇峻天皇と悲劇の皇子の存在を知る者には、日本初の女性宰相の誕生は、崇峻天皇、蜂子皇子の日本の国を思う心(怨念)が歴史を動かしたとしか思えないからである。

 1400年前の日本にもどることはできないが、世界から女性の地位が低いと信じられている日本で、米・仏に先駆けて、日本初の女性宰相誕生の意義は大きい。

 まあ「天下の暴論」のようでもあるが、1400年の時を超えて、巡ってきた女性宰相誕生である。それをチャンスとして生かすのか、チャンスを潰すのか。

 政権交代にしろ、先ごろ閉幕した大阪万博にしろ、リベラルと称する左がかったメディア、そのメディアに操られた世論は、初の女性宰相をさほど歓迎することなく、想定外の高市首相誕生に、何かにつけて反日的姿勢=日本の弱体化に精を出している。

 そんな相変わらずの展開が続く中にも、様々な興味深い動きがある。

ree

 原子力イノベーションセミナー

 10月20日、衆議院第二議員会館の会議室で、原子力革新研究会主催の「原子力イノベーションセミナー」(課題解決に向けた提言『放射性廃棄物大深度密閉方式』による地産地消とは)が行われた。

 原田義昭元環境大臣のあいつさつの後、金子和夫氏(アイコンテクノ株式会社代表取締役、株式会社トリウムテックソリューション取締役会長)の講演「原子力革新研究会の趣旨・活動状況」。続く講演が原田氏の「核ゴミに『大深度シールドトンネル密閉方式』を原子力政策への提言」。終了後、質疑応答が行われた。

 大深度地下核処理施設の話が中心かと思ったら、8月に行われた「原子力イノベーションセミナー」(「ウエルネス@タイムス」第49号参照)でレポートされているトリウム溶融塩炉が、メインのような印象もある。核廃棄物処理にもトリウム溶融塩炉が有効だからということもある。

 金子和夫氏はトリウム溶融塩炉についての本を2冊書いていて、一冊は2015年2月の「『原発』もう一つの選択:『使用済み核燃料』を処理できる原子炉がある」(ごま書房新社)。もう一冊は2012年3月に出た「『脱原発で』で本当に良いのですか?」(ごま書房新社)である。

 まさに安全で安価なエネルギーとして、推進すべき日本の技術なのだが、そこにも既得権益、利権などの絡みがあるようで、肝心のトリウム溶融塩炉の実証実験炉もない。

 8月のセミナーには、財務大臣になった片山さつき氏が国会を抜け出して、わざわざあいさつに来ていた。高市首相も麻生太郎氏も国際弁護士・細田氏の人脈である。

 どのような展開になるのか、注目していきたいテーマである。

ree

 トランプ大統領の靖国参拝!?

 10月27日、トランプ大統領が来日して、翌28日、高市首相との会談並びに横須賀における原子力空母ジョージ・ワシントン内での演説など、そこでのパフォーマンスがはしゃぎすぎだとか、トランプ大統領のノーベル平和賞への推薦など、醜いとかいろいろ言われているが、リップサービスも笑顔も大金がかかるわけではない。

 冷静に判断すれば、高市外交は大成功であろう。

 また、日本の保守あるいは右翼層は、高市氏の靖国神社参拝を貫いてほしいと考えているようだが、余計な軋轢を生むのは賢明ではない。

 そのため、今回のトランプ来日に際して、実は日本の英霊を守る会その他、多くの人たちがいろんな人脈を用いて、トランプ大統領と高市首相の靖国参拝を実現しようと動いていた。

 だが、結果はあまりにも刺激的であり、時期尚早ということだろう。実現することはなかった。相手があることだけに、これまた冷静な対応が必要である。

 興味深いのは、予定外のサプライズとして、北朝鮮による拉致被害者家族とルビオ米国務長官との面会の場に、大統領が登場して、記念撮影に応じていた。

 北朝鮮拉致被害者の救済は、トランプ大統領の盟友・安倍元首相のやり残した仕事でもあり、拙著『梨本宮家と靖国の影』の主人公である一般財団法人「梨本宮記念財団」梨本隆夫代表理事の重要な仕事の一つである。

 筆者も協力してきたこともあり、今後の展開への期待もある。特に目黒祐天寺に眠る北朝鮮軍人・軍属の遺骨を、北朝鮮に返還することなく、つまりは霊的な問題を解決せずに民族間の懸案、戦後処理は終わらない。

 その遺骨の返還を安倍元首相に担ってもらいたいと動いたのが梨本代表理事だったが、直談判に押しかけても、出てこなかった10日後、統一教会に怨みを持つ犯人に撃たれて亡くなった。

 故国に帰ることができる最大の機会を失った北朝鮮の軍人・軍属の怨念が、その死を早めたのではないかというのが、梨本代表理事の思いである。

 いずれにしろ、神は偉大なるプログラマーである。日本初の女帝・推古天皇から1400年、天皇になれなかった蜂子皇子の怨念が、様々な出来事や意外な出会いなどを演出しているかのようである。

 高市氏が首相になり、財務大臣に片山さつき氏がなる。女性閣僚が増えるとの観測もあった中、小野田紀美・経済安保相を含めて、3人は少ないようにも思うが、たぶん数の問題ではないだろう。

 とりあえず、今後の展開を見るに当たって、1400年前の日本にもどることはできなくとも、そうした時代があったことだけは十分に知っておいたほうがいい。

 
 
 

コメント


bottom of page