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すべてのキーワードは「日本の弱体化!?」である。  技術の発展と「進歩」がもたらした人間の退化とは?

すべてのキーワードは「日本の弱体化!?」である。

 技術の発展と「進歩」がもたらした人間の退化とは?


 日本の自虐史観

 宇宙を見回すことはなくとも、足下の我が国に焦点を当てれば、近年の出来事の大半は改めて「日本の弱体化」につながっていると、気がつく。

 薄々というか、わかってはいても、それはいわゆる戦後、連合軍と米GHQ進駐軍の施策である、例えば「ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム」(戦争責任・広報計画)により、日本に徹底的な贖罪意識を植えつけた。その洗脳政策の結果、日本の自虐史観は、いまなお見事に機能している。

 その強引で露骨なやり方は、裏返すと極東の小国が、大国ロシアや中国(清)に勝利し挙げ句の果てに、世界の大国、アメリカや連合軍相手に戦う、自分たちには信じがたいことを行う日本そして日本人を恐れる心情から、いかに日本を再び立ち上がらせないようにするかという、涙ぐましいまでの知恵と努力の結晶であった。

 そんなアメリカ及び連合国の思惑はさておき、日本はあっという間に復興を遂げて、再び世界の脅威となりつつ、その一方、自虐史観は戦後世代の左翼に引き継がれ、その後はリベラルの台頭とともに、いまなお十分に機能している。

 と、そんなことを考えたのは、今年の「ウエルネス@タイムス」を見た友人S氏からのメールに、ピント外れとしか思えないアドバイスが書かれていたためだ。

「ウエルネス@タイムス」はもともと幅広いテーマを扱っているため、ときにはくだらない人物や事件をクローズアップすることもある。注意しているつもりだが、扱う対象が汚ければ紙面にも多少は反映される。

 その月の記事は、そんな内容が多かったのか、S氏は「いいかげん○○の件でもないでしょ」とあって「もう少し遠き目で」ということで「進歩と進化を特集してください」と書いてあった。

 一人の人間を理解したつもりでも、なかなか思いどおりには理解されないものだが、彼からのメールも、筆者にとってはピント外れのメールでしかない。そのため、逆に「えっ! そうなんだ」という発見にもなった。

 30世紀へのメッセージ

 S氏からのメールで、意外だったのは「遠き目で」とあることだ。返信メールには「筆者の著作の一つは、編集者がつけた『30世紀へのメッセージ』(三和書籍)というタイトルです。宇宙を人類の祖先として、1000年後を視野に入れて仕事をしているつもりなので、ご指摘は当たらないのでは」と書いている。

 ついでに「反目、破滅など下らないことを論じるのは、世間、世界がそのようだからであり、ジャーナリストの責任ではありません」「私がジャーナリストとしてやっていることは、基本的に人を良くすること。食(マクロビオティック)、先祖供養、アート関連、量子水の推奨等、実践すれば自ずから人が良くなるのですが、みなさんほとんどやらないため、平和は2000年以上、来ないわけです」などと付け加えている。

 ついでに「進歩と進化」については「世界には進歩があるだけで、いまだ進化は見られないまま、人間の退化が進行中という認識です」と返信している。

 偉そうな指摘に、たぶん一人、貴重な友人を失ったはずである。もっとも、昔、フェイスブックが流行っていたころS氏から「友達申請」が届いて、普通は「友達」になるのだろうが、SNSは苦手なためスルーしたことがあった。その意味では、もとの関係にもどっただけかもしれない。

 フェイスブックに登録されているのは、息子の関係でそうしただけのことだが、途端に昔の知人から「○○君?」とのメッセージが届いた。おかげで、10数年ぶりに話したことがあったとはいえ、筆者にはさほど必要のない不気味なSNSとの印象である。

 SNSなどは、まさにどこに進化があるのかわからない典型的な存在だ。

 世の中すべて金次第?

 毎日毎日、進歩の果ての明るい未来なのか、末期の光景なのか。新聞を開けば、例えば原発のテロ対策について、大きく取り上げられている。そこでのイタチごっこのサイバーテロ。毎日、大量に届く迷惑メールの大半は、それを当たり前のこととして受け入れることが、進歩の代償とされている。

 進歩とセットの必要悪かもしれないが、結果、サイバーセキュリティ、詐欺ウォールなど、世の中すべてが金次第となっている。

 しかも、SNSのニセ情報に慣らされる中、ファクトとフェイクは同じF情報として、どんどん見分けがつかなくなっている。それを進歩とする楽観的な世界では、進化とは真逆の人間の退化が進行中である。

 そんな中、ある酒造メーカーの社長が「日経新聞」一面の「2050年の社長に託す言葉」との記事に「月で酒の蒸留所も、宇宙に視野を広げよ」との言葉とともに登場している。

 イーロン・マスク氏が火星への移住計画に邁進するのと同じである。

 そんな進歩の行方に、一石を投じているのが、泥臭い商法で人気となったディスカウントチェーンの経営者である。彼はあえて「デジタル時代、かっこよくなるな」との言葉とともに登場している。

「かっこいい店」は得てして自己満足になりがちで、客の都合を考えていないという。目指すのは大衆芸能だという。なるほど、進歩の時代に多少のヒントがありそうである。

 進化とは辞書によれば「未開社会から文明社会へと変化発展すること」である。だが、今日、技術の発展とともにあるのは、一方的なアップデートのみであろう。そこでは、ついに進化は見られることなく、逆に退化が始まっているのではないか。

 世界の国々の幸福度ランキングで、日本は先進国とは思えない低位に位置する。米ハーバード大学などの研究チームのインドネシアがトップの調査では、22カ国中最下位である。あるいは、女性の社会進出など男女平等調査では146国中118位である。

 およそ日本に住んでいる実感とは異なる順位になっていて、違和感を抱くことがある。

 なぜ、そんなことになるのか?

 本音と建前ではないが、そこには当たり前だが、日本の文化的な背景がある。

 日本は例えば、贈り物を渡すときに「つまらないものですが」と言ったり「粗品」と熨斗紙に書かれてある。

 そんな国のアンケートが自己主張の強い世界の国々と結果が異なるのは当たり前である。問題はそうした世界の潮流に巻き込まれて、日本の国際化、つまりは弱体化がさらに進行することだ。自国の文化が否定されれば、国民は自信を失って当然だからである。

 進歩の代償としての退化

 世間ではゲームばやりだが、その先にはスポーツ界、芸能界などで利用者が増えて、問題になっている違法なオンラインカジノもある。この3月、警察庁が国内約2万7000人を対象にした初の利用状況調査の結果を公表した。

 経験者は3・5%で、実際の人口に換算すると約337万人と推定されるとのことである。推計では年間の賭け金総額が1兆2423億円に達し、60%に依存症の自覚があるとのことであった。

 これらの数字が多いのか少ないのかはさておき、有名人の影響もあって、増えることはあっても減ることはない。技術の進歩、人心操縦術の進歩の結果である。

 技術の進歩・発展は顕著だが、進歩と進化について考えるとき、ゲームやオンラインカジノにおける進化とは何なのかが気になる。

 スポーツ界から芸能界、そして世の中一般を、まるで麻薬漬け、覚醒剤漬けあるいはゲームやアルコール依存症にする技術・操縦術を進化とでも称するのだろうか。あらゆる技術・進歩に付随する事実は、便利になれば、ある機能が退化すること、効率的になれば無駄が減るようだが、進化とはほど遠い現実に矛盾を感じて、心がすり減るようなストレスに捕らわれたりする。

 そこでは、心にしろ想像力にしろ、あるいはストレスにしろ、感じる心の働き自体を閉ざすことによって、自らを防御する必要がある。そこでの進化とは、まさに退化の別名のようである。

 いわゆるリベラルが推進してきたジェンダーフリー、夫婦別姓、人工中絶の権利などを、日本でも進歩的とされるオピニオンリーダーたちが、率先して推進してきた。それらはすべて、日本の和ではなく、社会に分断をもたらし、日本の弱体化につながる施策である。

 どこに進化があるのか?

 進歩の代償としての退化に思いを馳せれば、人間の退化の現実は至るところに見てとれる。問題は人間が文明の発展とともに、自然から離れることによって、様々な不具合が退化という形で生じてくることだ。

 世の中が便利で効率的になれば、一つは肉体的な退化が始まる。便利に慣れた結果であり、技術の進歩、発展の代償でもある。

 もう一つは、すべてが金に直結する日々に、どこでだまされるかわからないという油断ができない現実に心をすり減らす、ストレスとともにある精神面での退化である。

 退化とは文明の利器に一つ頼れば、一つ失う機能として、言葉や文字は書いて記録すれば、いつまでも残って便利だが、脳の記憶能力は確実に低下する。

 便利な機械に頼れば、肉体と精神性は退化するのと同様だが、クルマに乗れば脚力は低下し、テレビやスマホを用いれば、視力ばかりか、テレビ脳・スマホ脳と称する脳の機能低下につながっていく。

 新型コロナウイルスに限らず、現代はかつてはただの風邪でしかなかった病気や様々な感染症が問題になっている。その多くは免疫力の低下が問題とされるが、要は文明の発達とともに抵抗力が衰えるという形での人間の退化の結果である。

 とても、進化など望めない現実がある中で、われわれはどこに進化を見いだすべきか?

 多くの人類の敵は、詰まるところ無知と想像力の欠如である。

 進化とは「未開社会から文明社会へと変化発展すること」との定義に照らし合わせれば文明社会の目指すべき理想的な在り方に到達する。それこそ戦争のない平和な世の中であり、愛と思いやりに満ちた世界である。

 実際には、愛と平和を掲げながら、いまなお戦争を続ける世界には、進化などはあり得ないとの現実もある。

 そこでは客観的に世界を見る目、即ち芯のある強さに裏付けられた自立。同時に愛と優しさとともにある想像力が欠如しているのである。

 世界に足りないその2つを身につけて、初めて人は進化の入り口に立つことができる。

 答えは簡単である。だが、わかってはいても、目先の利益その他の事情が優先されると

残念ながら、その先には進めない。

 
 
 

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