ダーツの始まりは「ラブストーリー」その後の日々 15 不倫の顛末とダーツのルールについて 作家・波止蜂弥(はやみはちや)
- vegita974
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更新日:2 時間前
ダーツの始まりは「ラブストーリー」その後の日々 15
不倫の顛末とダーツのルールについて 作家・波止蜂弥(はやみはちや)
絵本について?

「以下省略って、何!」
前回の連載で、妙齢の女性から襲われたアバンチュール体験について、素っ気なく記した後、「以下省略」としたことについて、どうやら不倫のその後が気になった向きもいたようだ。
「興味あるの?」と思わず呟いたのも、当時、たまたま大学のクラブの同期が集まったOB会で「長い人生、こんなこともあるんだ!」と、還暦後に驚いた話をテーマにスピーチしていたからである。
「私、強姦(女性からだけど)されそうになりました!」と話して、肝心なところで、時間が足りなくなり、少し延長して話そうとしたところ、後は「聞きたくない!」との意外な反応があった。
「エッ、そうなんだ」と思って、急遽「長い人生、何があるわかりません。みなさんもくれぐれも気をつけて」と、無理やり取ってつけたようにスピーチを終えた。
テレビのワイドショーや週刊誌の不倫スキャンダルなどが大いに話題になる中、有名人以外の話は「聞きたくないのかな?」と思いながら「子どもには刺激が強すぎたかも」と反省して、翌年は「絵本について」スピーチした。
人気のうさぎキャラクター「ミッフィ」シリーズの作者ディック・ブルーナ氏が来日した際、詩人・谷川俊太郎氏と対談したときのエピソードを思い出したからである。
絵本は文字が読めれば、誰にでも作者の思いは届くと思われているが、素直な心を失った大人には、実は伝わらない。子どもには伝わるのに、言葉がわかる大人には、肝心な作者の思いが伝わらない。ブルーナ氏がそんな悩みというか、思いを語ったところ、常々同様のことを感じていた谷川氏と意気投合したという話である。
作家にしろ、ジャーナリストにしろ、同じ言葉を操っているが、実は伝わるようでいて伝わらない、そんなジレンマを感じるケースは、よくあることである。
不倫の顛末の「以下省略」なども、後は「ご想像にお任せします」と書くぐらいが正解なのかもしれない。ポルノ作家ではないのだから、濡れ場を書けばいいというわけでもない。
本当のことは心に仕舞っておいて、後は勝手に想像をたくましくしてもらえば十分ということだ。たぶん、そこでの真実は、ヤボなことになるからである。

「モモンガ」のランチメニュー
『ダーツ・ゲームブック』(成美堂出版)冒頭の「伝説のプレーヤー独占」インタビューに「勝利をつかむ」のタイトルで登場する小熊恒久氏は「19キラー」の異名を持つと紹介されていて、記事中「今でも19だけは絶対に外さない自信がある」と語っている。
19はダーツの最高点20より1点少ないが、なぜ19なのかについて、彼は「簡単な話で、20の的より19のほうが自分の目線の下にあったからだ。元々、ダーツは白人が作ったゲームで、日本人にとっては的が少し高い位置にある」と語り、その不利を補うため、次善の策として、より狙いやすい左下の19を狙うことにしたとか。
1点差ということは、20のトリプルでも3点差でしかない。もちろん、人一倍したという練習の成果だが、努力によって19の的を自分のものにしたわけである。
当連載が回を重ねて、毎月のようにダーツのレジェンドの青柳保之「青柳運送」代表取締役と元日本代表の小熊氏と筆者という団塊の世代に生まれた3人が顔を合わせている。
そんな進行に、案内役の小熊氏も連載の行方が少しは気になるようで、前回「罪無き麻婆豆腐」で会った際には「一度、ダーツのルールについても書いたほうがいいかもね」と話していた。
なるほど。ルールとあえて言うほどの内容ではないが、当初、簡単な説明だけは加えている。今回は、改めて「元・日本代表が語るダーツのルール」についてレポートするべきだなと、2月上旬、上京した土曜日、伝説のカフェ・池袋の「MOMONGA」で話を聞くことにした。すでにモーニングの時間過ぎている。
ランチメニューに「本日のパスタ」とあるので、内容を尋ねると、週末のせいか、パスタではなく「今日はしょうが焼き」とのことで、小熊氏はランチメニューを頼んでいた。筆者はミックスサンドを、少しだけわがままを言って野菜サンドイッチにしてもらった。
雪がちらつき始めた池袋サンシャイン通りは「こんなに人が多かったの?」という小熊氏の発言ではないが、意外な印象のようにも思える。とはいえ、池袋駅はJRに東武と西武、地下鉄丸の内線、有楽町線に、横浜まで行く副都心線などが集まるため、長年、新宿駅についで利用客が多い駅であった。
いまは2位の座を渋谷に譲ったようだが、その渋谷とは微妙に異なる客層のようにも思える。近年の池袋はガチ中華はさておき、意外なキャラクターの集まる聖地との一面もあるようで、コスプレ姿やオタク風の若者なども目立つ。
業界は異るとはいえ、どの業界にしろ、厳しい環境下、そこそこのポジションにいる人間に共通するのは、努力は当然だが、手抜きができないということだ。当たり前に最善を尽くしたとしても、業界の一流とされる場所で仕事を続けられるかどうかは、常に平均点以上の高レベルを維持できた者だけである。
ずいぶん勿体ぶった言い方をしているが、そんなことを思ったのも「モモンガ」の本日のランチ(豚肉のしょうが焼き)を食べていた小熊氏が、豚肉の枚数を示して「普通、こんなに多くないんじゃないの」と話していたからである。
ライスの皿と一緒に、ごま塩の小瓶が添えられてくるなど、絶妙な心遣いである。
ついでに筆者が頼んだ野菜サンドは、シティホテルでたまに見かける山型のイギリス食パンを使ったおしゃれな一品。出来立てのパンと新鮮な野菜に、一瞬、食べきれないんじゃないのと思ったボリュームである。
長年、厳しい喫茶・外食業界にあって、いまなお根強いファンを持つ理由である。
写真を撮るのを忘れたが、話はさておき写真などもいくらでも“盛れる”時代である。F情報(ファトク&フェイク)が飛び交う中、自分で行って確認すれば、嘘ではないことがわかるはずである。

ダーツ・ゲームの前提
上京するに当たって、小熊氏に連絡した際「先日話していたルールについて、話を聞かせて」と伝えると「そんなこと、言ったっけ?」との意外な反応が返ってきた。酒の入った席での一言だけに、深い意味はなかったのかもしれない。
特に話すことなどないようなことを言っていたが、相手はハードダーツの時代からソフトへの転換期を見てきた元・日本代表である。両者のルールの違いと変化など、やはり聞いてみないとわからないことばかりである。
小熊氏はルールというか、それ以前に、ダーツの場合、スタートラインに立ったら、構えて投げる。構えてから狙いをつけるように、手を動かしてはいけない。それはルール違反だと語った。
素人というか、初心者など、つい的を狙ってやりそうである。だが、練習の場では許されることでも試合となれば別である。投げるような格好をして投げなかったら、野球でいうところのボーク(反則)になる。
意外なようにも思えるが、最低のマナーとして空投げはできない。構えたら、投げる。当初はそれがルール以前のダーツ・ゲームの前提であった。
さすが紳士の国・イギリスで生まれたゲームというわけだが、そのダーツもアメリカからソフトダーツの機械が上陸してくることによって、少しずつ様相が異なってくる。
もう一つ、試合ではチームメートがスコアを教えてはいけない。「次、どこ行け!」といったアドバイスも御法度である。投げた後のアドバイス、やりとりは構わないが、ハードダーツでは「自分の頭の中で考えろ!」というのが、基本。大人のゲーム、スポーツなのである。
とはいえ「よく覚えられるな」という気にもなる。当初は、誰も似たようなもののようで小熊氏も「最初はわからない。ところが、やっていくうちに、絶対覚えなければいけないなとわかってくる」と話していた。
「01」ゲーム(持ち点を0にする)で残りが、例えば79の場合。19+20のトリプル=79という具合である。
基本的なパターンが決まっていて、当初は「絶対、無理と思っていても、慣れれば何とかなる。というよりも、一番最初に覚えないと上手くはならない」ということだ。
試合中「次はいくつ、どこだっけ?」なんてやっていると、ゲームにならない。
初心者にとっては、マージャンの点数も似たようなものかもしれない。数字に弱い筆者など、マージャンは飽きるほどやったが、いまだに何となくわかる程度である。

ダーツのルールの変遷
ダーツには何種類ものゲームがある。ダーツの様々なプロが書いた解説書にも、小熊氏が登場する『ダーツ・ゲームブック』にも、1ラウンドに一人3投し、単純に得点を加算していって、8ラウンドで一番高得点の者が勝つというシンプルなルールの「カウントアップ」から、おなじみの「01」、「クリケット」(陣取り合戦)など9種類のゲームとルールが紹介されている。
もっともポピュラーなのは「01」と「クリケット」である。事実、ソフトダーツの試合では「01」と「クリケット」がセットになっている。
もともと、アメリカからソフトダーツが上陸することによって「クリケット」が、本格的に行われるようになったのだとか。
いまでは想像できないが、ハードの時代「クリケット」は、基本的に行われなかった。「01」ゲームの「501」か「701」で試合が行われていたという。
もっとも、ハードの世界でもフィリピンなんかでは「クリケット」が行われていたそうだが、ゲームとしてはあっても、小バカにしたような感じで「ミッキーマウス」と呼ばれていた。ソフトダーツ同様、アメリカの大衆文化の象徴「ディズニー」になぞらえていたということか。
ソフトダーツ全盛の今日、クリケットが「ミッキーマウス」と呼ばれていたことなど、ほとんど忘れられている。
ダーツのルールで、よく言われるのが「ダブルイン」「ダブルアウト」である。「ダブルイン」は「01」などのゲームで、ダブルリング(ボードの外側のエリアで、得点が2倍になる)に入った時点で、ゲームがスタートするというもの。「ダブルアウト」は、最後にダブルに入れてフィニッシュするとのルールである。
これはイギリスから来たルールで、もともとは難しくするためだという。もっとも、ルールも時代によって変化する。いまはゲームの進行を早くするために「ストレートイン」の「ダブルフィニッシュ」になっているという。
要するに、スタートはダブルにこだわらずにシングル、つまりは的に当たればいい。フィニッシュは基本的にダブルで終わるが、ソフトダーツの世界ではプロやA級、B級はさておき、C級ではシングルフィニッシュでもOKというように、地域・大会等の事情で異なる対応がされているようである。
なぜシングルスタートが基本になったのかは、ダブルにすると時間がかかることもあるが、特に「01」の「301」だと、1~2回ダブルに入れられなかったら、相手はすでにフィニッシュしてしまうケースもある。
ハードダーツの国際試合は基本的に「501」だが、いまはみんなダーツのレベルが上がっていることから、ソフトでは「301」ではなく「501」や「701」がメインになっている。
ダーツの始まりはラブストーリーだが、ラブストーリーにもルールはあるようでない。



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