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 最後は“焼身自殺覚悟”で!と国交省に戦いを挑んだ「無水掘工法」 2023年末、国交省からの答えになっていない「回答」の内容

更新日:4月4日


 最後は“焼身自殺覚悟”で!と国交省に戦いを挑んだ「無水掘工法」
 2023年末、国交省からの答えになっていない「回答」の内容



 逃げるな! 国土交通省

「ウエルネス@タイムス」では、無水掘工法に関して、これまで「無名ジャーナリストの

仕事」の一環として、3度ほどレポートしてきた。

 最初のレポートが、2022年5月の「建設談合の闇に挑む無水掘工法裁判 障害者福

祉のための永見博希代表の戦い」である。

 無水掘工法の開発者である「オーナーシステム」の永見代表が、建設業界の闇、建設談

合の厚い壁に挑み、業界を敵に回した孤独な戦いの背景から、四面楚歌となる仕組みの一

端をレポートしている。

 2回目が2023年1月、「最後は“焼身自殺”覚悟で国交省の“罪”を告発せよ!」

のタイトルで「税金の無駄遣いと官製談合の無水掘工法裁判」をレポート。談合の闇の後

ろには、国土交通省・地方整備局の存在があり、税金の無駄遣いと業界を擁護する結果と

なっている「無水掘工法裁判」の問題点を明らかにしてきたつもりである。

無水掘工法を使用せず、従来工法で施工されたことによる損害金に関して、永見代表は

7億1300万円(公共事業費削減実績)としているが、その額は工事全体ではなく、無

水掘工法の特徴である仮設足場価格のみを算定基準にしている。

 永見代表が自己破産を余儀なくされるほどの実質的な損害を加算すれば、軽く10億円

は超えてしまう。さらに、その7億1300万円は永見代表が調べた当時の金額である。

 その後も、公共工事の現場で無水掘工法が使われていれば、10億どころか、50億、

100億円どころの話ではない。永見代表が試算したところ、何と「256億円」に上っ

たというのが、2回目のレポートである。

 その上で、無水掘工法裁判の棄却判決は、国交省が決めたルール(通達)を地方が堂々

と無視して、それを最高裁が認めた結果でもあることから、改めて国交省に無水掘工法に

関する質問書を持参・提出したわけである。

 そして、3回目のレポートが国交省からの回答を催促する意味もあり「逃げるな!国土

交通省」とのタイトルで、結局のところ「不祥事続きの省庁は嵐の過ぎるのを、ただ待つ

だけ?」との、半分投げやりなレポートを書いたのが2023年11月のことだ。

 当事者である永見博希代表が代理人の弁護士を通じて送ってきた質問書にも、回答がな

いまま、何年も過ぎていることもあり、ほとんど返事など期待していなかったためだが、

実は2023年12月に、国交省から「無水掘工法に関する質問への回答」がメールで送

られてきた。一年の終わりということもあり、しつこい(?)ジャーナリストからの連絡

が来る前に、とりあえずは回答をということか。



 何も答えていない国交省からの「回答」

「ウエルネス@タイムス」では、永見代表の命がけの戦いを、全国の障害者のため、さら

には税金の無駄遣いを是正することに役立つならと、地味でわかりにくい無水掘工法問題

並びに裁判に関する展開をレポートしてきた。

 問題の内容は「コスト34%縮減の無水掘工法」の特徴と、民営時代にボロ儲けしてい

たオーナーシステム株式会社の技術がNETIS(新技術情報提供システム)に登録され

「国のお墨付きを得て、さあ、これから民営時代以上に仕事が増えるぞ!」と考えていた

ところ、無水掘工法でしかできない難工事を除いて、やがて排除されていく。

 無水掘工法が本来の技術とは関係ない、業界の論理によって無視されていった“悲劇”

ということだ。

 改めて、何が問題なのか、以下、2023年に送った質問内容とその回答を掲載する。

 質問内容は、もともとの問題がNETIS登録後、2006年に本格運用になってから

の無水掘工法排除、並びに東九州道に対する国交省の不可解な対応にあることから、改め

て大阪裁判、滋賀裁判(いずれも棄却)の原点とも言える諸問題に関して、国交省の見解

と責任を質そうというものである。

 もっとも、始めに種明かしをすれば「回答」とは官僚の世界での用語で、実態は何も答

えていない。つまりは、物事を解決しようとしない官僚の知恵の産物だということだ。


 国交省に送った質問状とその回答

 無水掘工法(開発者・永見博希「オーナーシステム」代表)に関する質問

1.永見氏が長年、連絡を続けてきた国土交通省の担当窓口(大臣官房技術審議官室)が

 2022年8月、新しい担当者に引き継がれた後、連絡が取れずに「メール拒否」とな

 った件に関して。

  公僕にあるまじき対応に関して、どのような正当性があるのか、理由を教えていただ

 きたい。

回答 国土交通省としては、職員の異動に関わらず、組織として対応させていただいてお

ります。なお、令和5年1月30日以降はメールシステムの切り替えにより、下記を代表

アドレスとしてあります。

 代表アドレス:hqt−netis@ki.mlit.go/jp

2.NETIS登録前、いわゆる民間時代、全国650件以上の実績を上げて、大儲けし

 ていた無水掘工法がNETIS登録後、現在は表向きの実績はゼロです。結果、自己破

 産覚悟の状態にあります。

  なぜ、このような不可解というか、理解できない状況になっているのか。NETIS

 登録を指導した国交省の責任について、どう考えているのでしょうか?

回答 公共事業において企業が開発した新技術を活用することは、生産性や品質の向上、

コストの縮減などにつながるものであり、積極的に導入していくことは重要であると認識

しています。

 このため、新技術に関する適用性や経済性などの情報をデータベース化した「新技術情

報提供システム」を運用しており、有用な新技術の情報を誰でも容易に入手することがで

きる環境を構築しているところです。

 受注者が現場条件等を踏まえ総合的に判断し、施工方法を選定することとなっており、

NETISに登録されたことを以て、活用されることを保証するものではありません。

3.2010年度の東九州道佐伯河川工事の積算に無水掘工法の積算基準を使っていなが

 ら、入札公告中の特記仕様書に「無水掘工法での施工を想定している」と「想定」なる

 聞いたことのない表現により結果的に排除され、任意施工になっています。

  どこから「想定」なる言葉が出てきたのか、その根拠は何でしょうか。

  永見氏は「官製談合」のなせる技と言っています。

回答 発注者である九州地方整備局からは、他の工事と同様に工事の発注に際して積算条

件を明記したものと聞いています。

4.2010年8月、永見代表は大阪府が無水掘工法を積算のみに利用、本来そこに含ま

 れる技術開発費が支払われていないことからルール通りに用いるべきだとして、損害賠

 償並びに新工法の商標使用差し止めを求めて、大阪府を提訴しています。

  裁判の結果は、2012年7月12日の最高裁判決で、NETISが国の規範である

 ことを理由に、地方自治体を規律する規範ではないとして、訴えは棄却されました。一

 方、国との関係では、規範は当てはまるとの判断を下しています。

  最高裁の指摘は、国交省の指導とは異なる見解ですが、どのように考えたらいいので

 しょうか? この判断は滋賀裁判にも影響しています。

回答 地方自治法により地方自治体の発注する工事は当該自治体の責任において実施され

ておりますので、国交省としては回答する立場にありません。

5.2019年2月に始まった滋賀裁判に関して、2022年7月29日、最高裁で国と

 地方とは異なるとの大阪の判断を踏襲、棄却されています。

  この裁判は県に代わって地域住民が代わりに、無水掘工法を使用しない結果、税金の

 無駄遣いが発生していることを問題にしています。最高裁では、上の理由に加えて、当

 事者である県が訴えていないことも、却下の理由の一つとしています。

  明らかにNETIS並びに設計業務等共通仕様書「第1209条12項」の「設計業

 務の条件」を無視しています。結果、官製談合そのものではないのかとの指摘について

 どのように考えているのでしょうか。

回答 地方自治体の共通仕様書は、当該自治体の責任において規定されているものですの

で、当該仕様書の内容について国交省としては回答する立場にありません。

6.無水掘工法が使用されなかったことにより、多大な税金の無駄遣いと同時に、開発者

 である永見代表への特許料等の未払い分が発生しています。法的に損害賠償請求を求め

 る前に、永見代表は「リカバリー案」を提案しています。要は、無水掘工法機械を国交

 省が管理することによって、無水掘工法がNETISのルール通りに使用されることで

 34%のコスト縮減が可能になるというものです。

  開発者も国交省並びに納税者にも納得のいく現実的な解決策だと思われますが、国交

 省としては、どのように考えているのでしょうか。

回答 ロックアンカー工において多数の工法・施工機械がある中で、無水掘工法のみを国

交省が管理することは、民間事業者の競争性を制限し、さらに民間事業者の積極的な技術

提案の妨げとなりかねません。

 このため、無水掘工法機械を国交省が管理することはありません。



 「無水掘工法」四面楚歌の打開策?

 聞いてみないとわからないものである。

 まさに暖簾に腕押しというか、こんな答えをするために、およそ1年間を要するのかと

思うと、国交省エリートの忙しさ(?)というか、誠実さの程度が、むしろ同情に値する

レベルにあると実感できる。

 無水掘工法に関するレポートのタイトルを羅列すれば、いかに国交省がおかしいのか、

世間もメディアもわかっても良さそうなものだが、そうはならないのはなぜか?

「ウエルネス@タイムス」の非力は棚に上げることにして、考えられることは、これまで

のレポートでも指摘してきた。

 折角のレポートも、言葉を選んで少しは伝わるようにしてきたつもりだが、実際には国

交省並びに建設業界にとっては、永見代表はお上に楯突く不届き者ということだ。あるい

は、大ゼネコンの下請け・孫請けの業界での話とはいえ、建設業界の闇、談合とか税金逃

れなどを、正面切って暴こうとする無謀な行為である。その姿勢・行為自体が、談合(共

通の利益を分け合う話し合い?)の場にイチャモンをつけるようなもの。

 そこでは単純な正義感は、むしろ反発を招くことが少なくない。結果、問題点を見つめ

直すどころか、逆に潰しにかかる。ついに四面楚歌に陥り、最高裁での棄却判決といった

門前払いの仕打ちに「最後は焼身自殺!」の覚悟を明らかにするしかない状況に追い込ま

れてきた。

 当方の素朴な疑問は、国交省の方針に従った永見代表だが、なぜNETIS登録前はボ

ロ儲けしていた会社が、破産状態に陥ったのか。一方、国の方針を無視して、無水掘工法

機械を盗んだ関連会社はボロ儲けして、ODA事業を扱うまでに急成長を遂げたのか。

 国交省の回答では、建設業界で自由に仕事ができる永見代表の責任であり、国交省の知

ったことではないというものだ。正直者の永見代表がバカを見ただけのことである。

 結果、1.国交省の通達無視の実情。2.犯罪行為の事実。3.税金の無駄遣いに関す

る疑問は、解明されないままになっている。

 永見代表の戦いの推移は、結局のところ抗議の焼身自殺以外の手段は、すべて閉ざされ

たというのが、無水掘工法並びに永見氏周辺を取材してきた無名ジャーナリストの率直な

印象である。



 永見代表が戦い続ける理由

 もっとも、永見代表自身はいまだ戦いを諦めてはいない。ここで諦めては、これまでの

努力・戦いが無駄になること。ダウン症の息子の将来がかかっていること。何よりも、開

発者としては、水を使わず軽便で安全な無水掘工法が無用の長物にされるのは忍びないた

め、何とか無水掘工法技術の継承を望んでのことである(大金をかければ、およそ不可能

な工事現場はないが)。

 そのため、なお頼りにならないどころか、これまで大阪での犯罪処理並びに裁判自体を

ミスリードしてきた弁護士を頼り、さらには会計検査院に最後の望みを託そうとしている

ようだが、残念ながらしょせん蟷螂の斧というイメージは拭えない。

 無水掘工法「オーナーシステム」の会員企業は、すでに債権放棄しているところもある

ようだが、放棄はしていなくても、似たようなもの。永見代表との関係も、触れられたく

ない「汚点」としか見ていない。

 建設・法面業界では「無水掘工法」という名称を言葉にすること自体が、自分たちの業

界に楯突く「敵」、要するに余所者と見なされて、仕事にならないのが実情である。

 それがたった一人で、国交省を向こうに回して、建設業界を相手に、同業者や元社員に

だまされ、大阪府、滋賀県を相手に裁判を起こしたはいいものの、結果的に弁護士に裏切

られて、いまやどこからも相手にされずに、会計検査院を味方にしようと、つまりは、い

かに最後を華々しく飾るかが、最大の課題になっている。

 2022年末、東京のテレビの制作会社社長が無水掘工法に興味を示し、テレビでのド

キュメント企画を考えて、わざわざ大阪まで打ち合わせに来ていたこともあった。その話

も、いつの間にか話題に上らなくなった。

 プロデューサーに話を聞いたわけではないが、無水掘工法を巡る問題点は、地味でわか

りにくいという以上に、いわば世間で良く見る切れやすい「老人」の繰り言には付き合え

ないと判断したのではないだろうか。

「ウエルネス@タイムス」も、今回が最後のレポートになるかもしれない。

 無水掘工法が表舞台では無視され、忘れ去られていく中で、相変わらず国交省周辺では

不祥事が続く。

 例えば、この3月11日、関西の「NEWS WEB」で「6億6000万円余所得隠

しか 大阪の測量設計会社を告発」と問題になっていた。

 国や自治体から道路の設計業務などを請け負う大阪の会社が、取引先に業務を発注した

ように装うなどして経費を水増しし、大阪国税局から6億6000万円あまりの所得隠し

を指摘され、法人税法違反などの疑いで告発されたことが、関係者などの取材でわかった

というものである。

 告発されたのは、大阪・中央区にある「国土技術コンサルタント」。脱税で得た金は、

社長が「ほとんど遊興に使った」ということだ。

 業界のたかり体質が共有されている中で、国交省が甘く見られている一例であろう。

 それでも親方「日の丸」国交省は安泰である。



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